因幡薬師(読み)イナバヤクシ

デジタル大辞泉 「因幡薬師」の意味・読み・例文・類語

いなば‐やくし【因幡薬師】

京都市下京区にある真言宗智山派の寺、平等寺通称山号は福聚山。11世紀初頭、因幡の国司橘行平海中から得た薬師如来像を本尊として、その子光朝の開基と伝える。因幡堂

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精選版 日本国語大辞典 「因幡薬師」の意味・読み・例文・類語

いなば‐やくし【因幡薬師】

  1. いなばどう(因幡堂)[ 一 ]

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日本歴史地名大系 「因幡薬師」の解説

因幡薬師
いなばやくし

[現在地名]下京区因幡堂町

真言宗智山派。福聚山と号し、正式には平等びようどう寺という。本尊薬師如来。「拾芥抄」に「高辻南、烏丸東、大納言橘好古」とあり、同書東京図には方一町の範囲を示す。この方一町は現因幡堂いなばどう町と燈籠とうろう町西側にあたる。

〈京都・山城寺院神社大事典〉

〔開創伝承〕

鎌倉時代作といわれる因幡堂縁起(山城名勝志)によれば、長徳三年(九九七)因幡国賀露かろ津の海に夜々霊光あり、国司橘行平が漁師を海に潜らせてみると薬師像であった。その後、長保五年(一〇〇三)烏丸高辻からすまたかつじの行平の邸に像が飛来、仏閣を造って安置したのが因幡堂であるという。本願は子の光朝で、承安元年(一一七一)高倉院の勅額を賜り、平等寺と号したという。一方、「一遍上人絵伝」には行平が夢想により薬師像を海中に発見したのは天暦五年(九五一)のこととする。

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改訂新版 世界大百科事典 「因幡薬師」の意味・わかりやすい解説

因幡薬師 (いなばやくし)

京都市下京区にある真言宗の寺。俗に因幡堂,正称は福聚山平等寺。鎌倉期作の《因幡堂縁起絵巻》によると,因幡の国司橘行平が海中から薬師像を感得し,帰洛後の1003年(長保5)邸内に安置したことに始まると伝える(因幡氏)。重要文化財の本尊薬師如来は善光寺阿弥陀如来,清涼寺の釈迦如来とともに三国伝来の日本三如来とされ,中世から治病や安産霊験で聞こえ,町衆の信仰を集めた。狂言《因幡堂》の舞台でもあり,庶民の町堂(まちどう)として栄えてきた。
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