長寿科学や老年学・老年医学に関する総合的・中核的な研究を行う、厚生労働省所管の国立研究開発法人(独立行政法人)。英語名はNational Center for Geriatrics and Gerontology、略称はNCGG。「高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律」(平成20年法律第93号)に基づく、医療に関する六つのナショナルセンター(国立高度専門医療研究センター)の一つである。1938年(昭和13)12月に傷痍(しょうい)軍人愛知療養所として創設された国立愛知療養所と1939年6月に愛知県立大府(おおぶ)荘として創設された国立療養所大府荘が1966年(昭和41)4月に統合、国立療養所中部病院となる。2004年(平成16)2月、閉院とともに翌3月、国立長寿医療センターへと改編された。2010年4月に独立行政法人に移行し、現名称となり、2015年4月に国立研究開発法人となった。本部の所在地は愛知県大府市森岡町7-430。
国立長寿医療研究センターは、加齢に伴って生ずる心身の変化、およびそれに起因し、高齢者が自立した日常生活を営むためにとくに治療を必要とする疾患に関し、調査・研究および技術の開発を行う。また、これらに関連した医療の提供、技術者の研修等にもあたる。そのため研究所、病院、認知症先進医療開発センター、老年学・社会科学研究センター、歯科口腔(こうくう)先進医療開発センターなどの組織を有する。
研究所は、ゲノム老年学研究部、運動器疾患研究部、再生再建医学研究部、幹細胞再生医療研究部、口腔疾患研究部、老化機構研究部、老化制御研究部、統合加齢神経科学研究部などの研究部と、実験動物管理室、ラジオアイソトープ管理室などで組織されている。
病院は21の診療科に加え、もの忘れセンター外来、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)外来、心の元気外来など15の専門外来を設定して高齢者医療を提供している。
認知症先進医療開発センターは2010年の独立行政法人化と同時に設立され、認知症の非薬物的予防の開発研究、発症や進行を抑止する薬剤の探索研究、認知症の早期発見等を可能にする画像診断の開発研究、認知症を患う高齢者の介護・支援の開発研究などを行っている。老年学・社会科学研究センターは高齢者にかかわる施策、法制度、さらに経済的視点も含む広範な問題解決型の実証研究を行う。歯科口腔先進医療開発センターは口腔歯科医療における予防、診断、治療法の開発・改良のための調査・研究にあたる。
[編集部 2017年11月17日]
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