改訂新版 世界大百科事典 「国造本紀」の意味・わかりやすい解説
国造本紀 (こくぞうほんぎ)
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』の巻第10にあたる一巻の書。『旧事本紀』は聖徳太子の撰(せん)という序文を有するが、平安初期につくられた偽書とされる。しかし、そのなかの巻第3「天神本紀」の一部、巻第5の「天孫本紀」、それにこの「国造本紀」は、他のいずれの文献にもみえない独自の所伝を載せていて注目される。「国造本紀」は、大倭国造(やまとくにのみやつこ)以下全国で130余りの国造を列挙し、それぞれに国造任命時代、初代国造名を簡単に記したものである。それらのなかには和泉(いずみ)、摂津、丹後(たんご)、美作(みまさか)など後世の国司を記載したところもあり、また无邪志(むさし)と胸刺(むさし)、加我(かが)と加冝(かが)など紛らわしいものもあるが、概してかなり信用できる古伝によっていると思われ、古代史研究の貴重な史料となる。『新訂増補国史大系』所収。
[黛 弘道]
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全国135の国造(国司や重複を含む)について,それぞれの設置時期や被任命者を列記したもの。「先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)」巻10として残る。「古事記」「日本書紀」にみえる国造で掲載されていないものも2~3あるが,国造名を網羅したものとして貴重で,記紀など他書にみられない所伝もあり,国名表記に古い用字もある。823年(弘仁14)の加賀国分立を記し,最終的な成立は平安初期か。成立経緯は,「先代旧事本紀」編纂時に古文献を斟酌して作成したとする説,6世紀中葉~7世紀前半にその当時実在した国造を記録した原資料が存し,702年(大宝2)に作成された「国造記(こくぞうき)」をその公的記録とみなす説などがある。国造研究の重要な史料であるが,内容には十分な考証が必要となる。「国史大系」所収。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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