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平安初期に編纂(へんさん)されたと推定される歴史書。本書の序には、620年(推古天皇28)聖徳太子、蘇我馬子(そがのうまこ)らの撰録(せんろく)するところと記すが、『古事記』『日本書紀』『古語拾遺(しゅうい)』などからの引用があるので、本書は807年(大同2)以後に成立したもの。ただし本書の内容から推して、その成立は平安初期であることは確実。全10巻、神代から推古(すいこ)天皇に至る歴史を記し、また「国造本紀(こくぞうほんぎ)」という独自の記録を収録。著者は未詳であるが、「天孫本紀」には尾張(おわり)氏および物部(もののべ)氏の系譜を詳細に記し、またほかにも物部氏関係の事績が多くみられるので、本書の著者は物部氏の一族か。「天孫本紀」「国造本紀」などは古代史の史料として重要である。『国史大系』所収。
[佐伯有清]
『鎌田純一著『先代旧事本紀の研究』全二巻(1960、62・吉川弘文館)』
神代から推古天皇に至るまで,《古事記》《日本書紀》《古語拾遺》などをつづり合わせて作られた歴史書。9~10世紀初めの間に成立。10巻。略して《旧事本紀》《旧事紀》とも。序文に聖徳太子,蘇我馬子らの撰とあるため,中世の神道家などに尊重されたが,江戸時代以後,偽書と判明。しかし巻五の《天孫本紀》は尾張氏,物部氏の古来の伝承,巻十の《国造(こくぞう)本紀》も古い資料によっている。
執筆者:青木 和夫
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「旧事本紀」「旧事紀」とも。神代から聖徳太子の死去までを記した史書。10巻。蘇我馬子(そがのうまこ)らの撰とする序文は後世の偽作。撰者は不明だが,物部(もののべ)氏の事績を多く載せていることから物部氏との関係が注目されている。成立は延喜年間(901~923)以前の平安初期と推定される。全巻を通じて「古事記」「日本書紀」からの引用が多く独自の記事は少ない。尾張・物部両氏の家伝によったとされる両氏の系譜を収める巻5「天孫本紀」と,後世の加筆部分を除く巻10「国造(こくぞう)本紀」は貴重な史料。古代末~中世に神道関係で重視されてきたが,近世初頭に偽書説がうまれて評価が低くなった。「国史大系」所収。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…また文芸的趣味のため,権力に関係なく仮託するものもある。中国では古くから偽書が多いが,日本では上古景仰意識の起こった平安末から鎌倉時代にかけて仮託が行われ,聖徳太子撰《先代旧事本紀》も平安時代の偽書であろうといわれている。聖徳太子には〈十七条憲法〉をはじめ著作が多い。…
…《古事記》や《日本書紀》の神話は,たしかに神道的な諸観念をよくあらわしているが,神々の祭りに際して,記紀の神話が教典として読誦されるようなことはなかった。《古語拾遺》や《風土記》も教典とされ,中世では《先代旧事本紀》も重んぜられた。しかし,それらは古典に対する知識を持つ神官の間で尊重されただけで,庶民が記紀の神話を教典として読んだわけではない。…
※「先代旧事本紀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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