国連人権委員会(読み)こくれんじんけんいいんかい

知恵蔵の解説

国連人権委員会

国連の経済社会理事会(ECOSOC)が1946年6月21日の決議〔9(II)〕で設置した、同理事会の補助機関。国連憲章(68条)に定められた人権及び基本的自由の普遍的な尊重・順守を促進する上での助言が目的で、委員も当初の18人から53人に増加され、地域的配分により選任されていたが、近年、人権侵害国から委員が出され、ともすれば政治的演説の場になっていると批判されていた。それを受け、国連改革の一環として人権理事会が設立され、人権委員会は2006年6月廃止された。

(宮崎繁樹 明治大学名誉教授 / 2007年)

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百科事典マイペディアの解説

国連人権委員会【こくれんじんけんいいんかい】

国連経済社会理事会の下に置かれた機能委員会で,1946年に18人の委員で発足。53ヵ国の政府委員で構成。下部組織である〈差別防止・少数者保護小委員会〉(人権小委員会)からの報告を受けて,子供の人権,女性の人権,被拘禁者の人権,先住民の人権などをテーマに審議を行い,毎年100を超える決議や決定を出す。主要な決議・決定は国連総会や経済社会理事会に上程される。なお,この国連人権委員会の初代委員長は世界人権宣言制定に尽力したアメリカのF.D.ローズベルト大統領夫人エリノア・ローズベルト。2014年3月北朝鮮人権調査委員会が北朝鮮政府による広範な人権侵害に関する最終報告書を国連人権委員会に提出。調査報告は組織的で広範な人権侵害を認め〈人道に対する罪〉にあたると初めて判断,日本人拉致問題にも触れた。国連人権委員会は報告書の提出を受け,2014年11月の国連総会にて北朝鮮を非難する決議を採択した。日本に関わる決議としては,2002年8月に採択された〈性的人権侵害阻止に関する決議〉がある。この決議は性的奴隷や組織的レイプについての歴史的事実を正確に伝える人権教育をするよう各国に促しており,名指しは避けているものの,〈性的奴隷〉には旧日本軍の従軍慰安婦問題も含まれていると見られている。旧日本軍の従軍慰安婦問題については,1996年に国連人権委員会に任命された特別報告者であるラディカ・クマラスワミによる〈クマラスワミ報告〉が提出されており,〈性的奴隷〉と規程した。 2014年8月,朝日新聞が,従軍慰安婦問題に注目が集まった1991〜1992年に同紙の記事や社説で,済州島で〈慰安婦狩り〉を行ったとする吉田清治証言に基づいて国家による〈強制連行〉であると記し,さらに同〈証言〉が虚偽と判明したのちにも朝日は記事や社説の訂正と謝罪を行わなかったことをはじめて認め,正式に取り消した。日本政府はこれを受け,日本政府に対して元従軍慰安婦への謝罪や賠償を求めた国連人権委員会の〈クマラスワミ報告〉について,〈その報告書の一部が朝日新聞が取り消した記事の内容に影響を受けている〉とし,〈日本の強制連行を証明する客観資料は確認されていない〉と述べた。また,〈我が国のこの問題に対する基本的立場や取り組みを踏まえていないことについては遺憾〉とした。クマラスワミは報道の取材に対し〈慰安婦たちには逃げる自由がなかった〉と述べた上で,報告書の内容について〈修正は必要ない〉との考えを示している。→国連人権センター
→関連項目緒方貞子カサン従軍慰安婦

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世界大百科事典内の国連人権委員会の言及

【国際人権規約】より

… 国際人権規約の履行を確保するため,国家に報告義務を課し,任意的申立制度が採用され,自由権規約についての国家からの報告は新設の規約人権委員会Human Rights Committee(自由権規約委員会,人権専門委員会,単に人権委員会とも訳す。ただし,世界人権宣言や国際人権規約の各草案を準備し,現在も活動している国連人権委員会Commission on Human Rightsとは別組織)が審議し,人権尊重の実をあげるべく努力している。社会権規約についての国家からの報告は国連経済社会理事会の決定によって政府専門家からなる会期間作業部会が審議してきたが,1985年の抜本的改正により個人資格で活動する18名の委員からなる社会権規約委員会(正式には経済的,社会的及び文化的権利に関する委員会Committee on Economic,Social and Cultural Rights)が1987年から審議している。…

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