土地の私的所有と地代を廃止し、土地を全国民の所有に移そうという理論。土地国有論は、農業における資本主義がもっとも典型的に発達したイギリスにおいて芽生え、成長した。それには二つの時期がある。18世紀末には、T・スペンス、W・オグルビ、T・ペインらが、小ブルジョア(プチ・ブルジョア)の立場から、土地は本来神の与え給うたものであるというJ・ロックの自然法思想を論拠として、土地の私的独占と不労所得たる地代を論難し、土地の公有を主張した。これに対し、19世紀後半には、J・S・ミル、H・ジョージらが、D・リカードの地代論を論拠として、一般経済社会の発展に伴って増大する不労所得たる地代を論難し、土地私有の解消によって地代に関する矛盾を解消し、それによって労働者の貧困をも解決しうると考えた。しかし、これらのブルジョアジーの立場からの土地国有論は、理論上唱えられるにとどまり、実行はされなかった。
K・H・マルクスは、プロレタリアートの立場から土地国有論を展開した。これは、土地を全人民の所有に移し、そのもとで、土地の条件差をなくしてゆき、土地労働の均等化を図ることにより、差額地代およびあらゆる地代に関する問題を解決しうるとする考え方である。土地所有の独占をなくすことで、農業と工業の不均等発展をなくし、階級と特権とを終極的になくす基盤をつくることができるとするのである。
[保志 恂]
『K・H・マルクス著、全集刊行委員会訳『土地の国有化について』(『マルクス=エンゲルス全集 第18巻』所収・1967・大月書店)』▽『保志恂著『地代範疇と土地国有論』『土地国有思想の系譜』(保志恂著『戦後日本資本主義と農業危機の構造』所収・1975・御茶の水書房)』▽『保志恂著『差額地代の止揚と全人民的所有』(久留島陽三・保志恂・山田喜志夫編『資本論体系7 地代・収入』所収・1984・有斐閣)』
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