日本大百科全書(ニッポニカ) 「土断法」の意味・わかりやすい解説
土断法
どだんほう
中国の東晋(とうしん)南朝期(317~589)に繰り返し実施された戸籍制度で、本籍地を離れた者(僑寓(きょうぐう)者)を現住地で戸籍に編入することを内容とする。西晋末の八王の乱(290~306)から五胡(ごこ)の侵入に至る華北の混乱に伴い、華北から江南各地へ人々の流入が相次いだ。黄籍(こうせき)という戸籍に登録されて税役を負担した一般土着民と異なり、これら南に移住した北人は臨時の白籍という戸籍に登録され、税役を負担しないことが多く、社会問題となっていた。そこで東晋は、流入する北人をその定着した土地の戸籍に新たに編入し、その属する郡県において税役を負担させ、国家財政の確立と地方制度の整備を図った。これが土断法の始まりである。宋(そう)の武帝(劉裕(りゅうゆう))の献策による413年の土断がもっとも著名。
[渡辺信一郎]