日本の縄文時代晩期にみられる土製品で,東日本の亀ヶ岡遺跡やその影響下にあった地域で製作され使用された。大きさは5~15cmで長方形または楕円形の板状をなすが,厚味があって内部が中空のものもある。岩版は材質が異なるだけで土版と同じような大きさ・文様をもち,用途も同じものである。晩期の土器型式の変遷に応じて土版,岩版も変遷をとげることが明らかとなっているが,東北地方では前半は岩版の割合が大きく,後半は土版が多い。一方,関東地方では前半に土版は多くみられるが,岩版は少なく,晩期後半には両者ともみられなくなる。土器に施されるのと同じ文様もあるが,土版独特の文様もある。正中線をはさんで左右対称の文様や人の顔を表現した文様もみられる。表と裏が別の文様であることも多い。懸垂用と考えられる小孔が上端にあけられることがある。モースは大森貝塚の土版について3通りの解釈を示したが,そのうちの護符か呪術師のまじない札とみる解釈は,今日でもよく採られている解釈の一つである。
執筆者:鷹野 光行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
縄文時代のもっぱら晩期に、東北地方を中心に関東・中部地方に発達した土製品である(一部、後期に属するものもある)。楕円(だえん)形または長方形を呈し、大きさ(長さ)は数センチメートルから十数センチメートル程度で扁平(へんぺい)である。平坦(へいたん)な表裏面はなんらかの文様で飾られている。多くは土器型式のそれにほぼ対応するモチーフのものである。なかには上半部に顔面を表したものがみられる。また、上縁に小孔を有する例が知られているが、これは懸垂のためのものであり、この場合、土版は護符として佩用(はいよう)されたとする解釈を生んでいる。呪術(じゅじゅつ)的な性格をもつ遺物である。同種の遺物として、軟らかい岩石でつくられた岩版がある。
[岡本 勇]
縄文晩期に特有の呪物(じゅぶつ)で,長径10~17cm程度の長方形または楕円形の板状の土製品。表裏に渦巻文・三叉文(さんさもん)・連弧文・Ⅰ字文などの特有な文様を施すほか,人面や乳房の表現をともなう例もある。同種の石製品を岩版という。土版は関東・東北地方に分布するが,岩版は東北地方北部に集中する。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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