第2次世界大戦後の地方制度改革の結果,都道府県庁に勤務する職員は,原則としてすべて地方公務員という身分に切り換えられた。だが,例外として政令に定められた特定の仕事に従事する職員の身分は,〈当分の間〉という条件の下に国家公務員とされた。このような職員を地方事務官と総称する。地方事務官の定員は2万1082人であり,健康保険,厚生年金など社会保険事務に従事する者1万5765人,職業安定・雇用保険事務に従事する者2349人,自動車の検査・登録事務に従事する者2968人である(1981)。地方事務官の従事する仕事は知事への機関委任事務であり,執行については知事の指揮監督を受けるが,地方事務官の人事権と予算権は主務大臣にある。この変則的な制度は,たんに地方事務官の身分を不安定としているばかりか,知事の責任の下に地域行政の総合性を確保する際の障害となり,廃止論を含めて従来からその改革が論議されているが実現していない。
→委任事務 →公務員
執筆者:新藤 宗幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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