ビルの建設工事中に地中から発見された小判のように,土地などの中に埋蔵されていて,現在それがだれの所有物か判然としないものをいう。発見された埋蔵物をだれの所有に帰せしむべきか問題である。所有者がだれか容易に識別しえない点で遺失物に類似している。それゆえ原則として遺失物と同じ手続を行うことになっている(遺失物法13条)。まず,警察署長に差し出され,所有者を確知するための公告がなされる。公告後6ヵ月内に所有者が知れないときは,原則として,発見者がその所有権を取得する(民法241条本文)。ただし,埋蔵物が発見者以外の者の土地の中などから発見されたときは,その土地の所有者と発見者とで所有権が折半される(同条但書)。なお,発見された埋蔵物が歴史上あるいは芸術上価値の高いもの,考古資料,その他学術上価値の高い歴史資料(埋蔵文化財)であって,その所有者が判明しないときには,これは国庫に帰属する(文化財保護法63条1項前段)。このような場合には,発見者に報償金が支給され,また,発見者が土地所有者と異なるときは,報償金は2人に折半して支給される(同条1項後段,同条2項)。
執筆者:安永 正昭
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土地その他の物(包蔵物)の中に埋蔵されていて、その所有者がだれであるか容易に識別できない物。埋蔵物は土地に埋蔵されている場合が多いが、動産の中に埋蔵されている物でも埋蔵物たりうる。埋蔵物を発見した場合の取扱いは遺失物の場合と同じである(遺失物法4条)。つまり、発見者は警察に届け出なければならず、警察は公告をして、所有者がわかればこれに返還する(同法6条・7条)。公告ののち6か月以内に所有者が判明しなかったときには、発見者がその所有権を取得する(民法241条)。ただし、発見された物が他人の物の中に埋蔵されていたときには、その他人と発見者とで半分ずつ所有権を取得する(同法241条但書)。なお、埋蔵物が学術・技芸もしくは考古の資料に供すべき物である場合のように文化財である場合には、その所有権は国に帰属し、発見者および包蔵物の所有者は、その物の価格に相当する額の報償金を得るにとどまる(文化財保護法63条)。
[高橋康之・野澤正充]
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…ただし,施行当初の同法では,埋蔵された有形文化財すなわち遺物にあたるもののみに限定されており,現在のように遺構や遺跡にも関連する用語になったのは54年の同法改正による。 埋蔵文化財のうち遺物にあたるものは,民法と遺失物法でいう埋蔵物に該当する。そのため,発掘調査その他によって埋蔵文化財を発見した場合,遺失物法の規定によって,いったん警察署長に差し出すこととなっている。…
※「埋蔵物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
[1973~ ]プロ野球選手。愛知の生まれ。本名、鈴木一朗。平成3年(1991)オリックスに入団。平成6年(1994)、当時のプロ野球新記録となる1シーズン210安打を放ち首位打者となる。平成13年(...
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