外国法人または外国人が株式の一部を取得している企業で,日本の法人格を所有しているものをいう。一般的には外資が50%以上の企業と考えてよい。なお外資が100%の外資企業でも,日本法人ならば含めることがある。通産省は1967年以降外資系企業について調査を行い,68年以降毎年《外資系企業の動向》を公刊している。これは現在,外資1/3超の企業が対象で,資本の95%以上を外資によって占められる〈純外資会社〉,日本企業と外資との共同出資による〈合弁会社〉(外資も経営に参加),既存の日本企業の株式の一部が外資によって取得された外資導入企業(株式保有のみ)に分けられている。
日本における外資系企業の進出(経営参加的株式取得)は,1960年代初めころまできわめて停滞していた。これは,日本が第2次大戦の痛手から十分に復興しておらず,外資にとってリスクが大きいと判断されたためである。しかし,60年代に入ると,高度成長に伴う消費市場の拡大,労働力の質の良さと豊富さが認められるようになった。67年の第1次資本自由化にはじまる外資規制の一連の緩和政策のなかで,外資の進出も急速に増加した。73年には,それまでの外資50%中心主義が一新され,OECD規約にそった外資の原則100%自由化が実現された。業種に対する規制も緩和され,75年には例外4業種(農林水産業,鉱業,石油業,皮革業)を除くすべての業種に対する外資進出の自由化がなされている。また80年の外為法(外国為替及び外国貿易管理法)改正によって,外資進出に伴う手続も著しく簡便になった(事前届出制のみ)。こうして外資の進出は加速され,第1次資本自由化から外為法改正に至る約10年間に,外資の進出は10倍に拡大した。さらに80年代以降,先進国間で市場の開放が盛んに叫ばれるようになり,外資の往来もますます活発さを増しつつある。とくに,恒常的な対日貿易不均衡に悩むアメリカやECは,対日輸出拡大の有力なてことして日本への企業進出を推進している。通産省の調査によると,95年3月末で外資比率1/3超の企業は約3000社に達している。親会社の国籍別では,アメリカ系が全体の約40%強を占め,ついでドイツ約10%,以下スイス,イギリスの順で,ヨーロッパ系の企業は全体で約30%を占めている。
→外資導入
執筆者:結城 隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
資本構成のうえで外国資本が占める比率の高い企業。経済産業省の定義によれば、外資が経営参加を目的として株式を取得し、その外資比率が通常20%を超える企業で、一般に次の三者を総称して外資系企業という。第一は、外国法人または外国人が資本金の全額を出資して日本国内に設立した企業で、これを純外資会社という。第二は、日本企業ないし日本人が外国法人または外国人と共同出資で日本国内に設立した企業であり、これを合弁会社という。これは出資比率により、日本資本優位型と外国資本優位型に分けられる。第三は、外国企業が、既存の日本企業の株式ないし持分(もちぶん)を取得した場合で、このようになった企業を外資導入会社という。外資導入会社の性格は、外資導入の程度によって大きく異なるから、外資系企業というときには、外資の影響力の大きなもののみをさすのが普通である。
[森本三男]
一定額以上を外国資本が出資している企業。詳細な定義は国や機関,文献により異なるが,日本の場合,たとえば経済産業省「外資系企業動向調査」では,資本の3分の1以上が外国資本である企業を指す(対象企業数:約6000社)。外国企業(とくに欧米系)は仕事に人を貼り付ける「ジョブ型」社会として特徴づけられ,部門別採用,空席補充での採用,職務給が基本である。だが日本の外資系企業の場合,本国の文化・慣習を現地に持ち込むタイプ(アメリカ型)と,現地の文化・社会を尊重するタイプ(ヨーロッパ型)があり,日本的雇用慣行の一つである新規一括採用をする外資系企業も多い。一方で,採用・処遇において日本学卒者が本国(とくにアメリカ)の学卒者よりも低く位置づけられるケースがあるなど,人に仕事を貼り付ける「メンバーシップ型」社会に対応する日本の大卒人材への評価には厳しいものが多い。
著者: 稲永由紀
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
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