日本大百科全書(ニッポニカ) 「多孔質ガラス」の意味・わかりやすい解説
多孔質ガラス
たこうしつがらす
porous glass
熱処理によって、均一なガラスが二つ以上の相に分かれる分相現象を利用してつくられるガラス。分相によって生成した第二相を、硫酸や塩酸などで溶かすと、その部分が空隙(くうげき)となり、数ナノメートル~数マイクロメートルの無数の連続した細孔をもつ多孔質ガラスを得ることができる。細孔表面積は最大数百平方メートル/グラムと大きく、熱処理条件を変えることによって、希望の細孔径や細孔表面積をもった多孔質ガラスを得ることが可能である。また、無機材料であるため、有機質材料と異なり、細菌に侵されることがない。これらの特長を利用し、細孔表面をイオン交換樹脂で修飾することで同位体の分離に利用したり、特定の酵素を担持することでバイオリアクター(生物反応器)として応用されている。
[伊藤節郎]