大学別曹(読み)ダイガクベッソウ

デジタル大辞泉 「大学別曹」の意味・読み・例文・類語

だいがく‐べっそう〔‐ベツサウ〕【大学別曹】

平安時代、有力氏族が子弟のために大学寮近くに設けた寄宿施設。和気氏弘文院藤原氏勧学院橘氏学館院など。

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精選版 日本国語大辞典 「大学別曹」の意味・読み・例文・類語

だいがく‐べっそう‥ベッサウ【大学別曹】

  1. 〘 名詞 〙 平安時代、各氏族が大学寮の近くに設置して子弟教育の便宜をはかった公認の施設。大学寮の寄宿施設の不備を補うために各氏出身の学生を寄宿させ、学費支給、立身の援助などに尽力した。藤原氏の勧学院、王氏奨学院、橘氏の学館院などが知られている。大学寮別曹。〔西宮記(史籍集覧所収)(969頃)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「大学別曹」の意味・わかりやすい解説

大学別曹 (だいがくべっそう)

大学寮の公認寄宿施設。平安時代前期,有力貴族は子弟の教育を奨励するために,次々に大学寮に学ぶ学生の寄宿施設を設けたが,やがてそれが大学別曹となった。大学寮の南に近接して設けられたものは,大学寮南曹とも呼ばれた。大学別曹には,和気氏の弘文院,藤原氏の勧学院,橘氏の学館院源氏など王氏の奨学院がある。別当,知院事などの職員が置かれ,いずれも各氏族の財源によって運営された。大学別曹といわれたが大学の管轄ではなかった。学生は大学別曹に寄宿して学資,書物その他の便宜を与えられ,大学寮学生として大学寮に通い講義,試験を受けた。中でも藤原氏の勧学院は最も盛んであった。大学別曹としての本来の教育的機能は,平安時代後期以降衰退に向かった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大学別曹」の意味・わかりやすい解説

大学別曹
だいがくべっそう

平安時代、諸氏が、その氏(うじ)出身者の教育のために設けた曹司(ぞうし)(寄宿舎)。大学生(だいがくしょう)の寄宿のための施設不足に対する対策として生まれたものであるが、大学寮の付属のものとして公認されて初めて大学別曹となる。大学の直接の管理下にはないが、寄宿するのは大学生で、入院名簿を出すとともに、大学に入学の名簿を出し、講義、試験はすべて大学で行われた。書籍を蔵していて、学生の自習が可能なようになっていた。また氏の有力者の協力で、豊かな財政で運営され、学生は生活上多くの便宜を与えられた。和気(わけ)氏の弘文(こうぶん)院、藤原氏の勧学院、橘(たちばな)氏の学館院、王氏の奨学院があった。氏族中心の貴族社会が生んだ施設である。

[大塚徳郎]

『桃裕行著『上代学制の研究』(1947・目黒書店)』

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大学別曹」の解説

大学別曹
だいがくべっそう

大学寮の敷地の外におかれた曹司(ぞうし)の意で,具体的には学生(がくしょう)の寄宿舎。大学直轄の直曹(じきそう)に対する名称。大学の学生は本来寮内に寄宿することになっていたが,平安前期になると有力貴族は,各氏出身の子弟の教育奨励のため寄宿舎を設けた。藤原氏の勧学院,橘氏の学館院,王氏の奨学院があいついで設立され,大学別曹として公認された。大学別曹は各氏長者(うじのちょうじゃ)の管理下にあったが,ここに寄宿する学生は大学に登校し,寮内に寄宿する学生とともに授業をうけ,同等の資格で任官のための受験が認められた。また年挙(ねんきょ)によって試験をへることなく出仕することもできた。

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百科事典マイペディア 「大学別曹」の意味・わかりやすい解説

大学別曹【だいがくべっそう】

大学(日本史)/弘文院勧学院学館院奨学院

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大学別曹」の意味・わかりやすい解説

大学別曹
だいがくべっそう

平安時代以降,貴族がその氏族出身の子弟のため設置した学問所。藤原氏の勧学院,橘氏の学館院,和気氏の弘文院,在原氏の奨学院,大江・菅原氏の文章院などがこれである。学生はここに寄宿して学び,学費の支給を受けた。

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旺文社日本史事典 三訂版 「大学別曹」の解説

大学別曹
だいがくべっそう

平安時代,貴族が一族の学生のために設けた寄宿寮
藤原氏の勧学院,和気氏の弘文院,橘氏の学館院,在原氏の奨学院などが有名。

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