江戸末期の儒学者。熱烈な尊攘(そんじょう)思想家。名は正順(まさより)、字(あざな)は周道、通称順蔵。兵学者清水赤城(しみずせきじょう)(1766―1848)の四男として文化(ぶんか)13年江戸に生まれ、日本橋の豪商大橋淡雅(たんが)(1789―1853)の婿養子となる。佐藤一斎に儒学を学び、思誠塾を開いて子弟を教授、詩文に優れた。1857年(安政4)『闢邪小言(へきじゃしょうげん)』を著して尊王攘夷論を鼓吹した。安政(あんせい)の大獄に刑死した頼三樹三郎(らいみきさぶろう)の遺体を収めて小塚原(こづかっぱら)回向院(えこういん)に埋葬。公武合体論による皇女和宮(かずのみや)の降嫁反対運動にも参加した。坂下門外の変に際し、計画の中心人物と目されて、老中安藤信正(あんどうのぶまさ)襲撃に先だって捕らえられたが、病のため出獄、宇都宮藩に預けられたが文久(ぶんきゅう)2年7月12日没した。47歳。
[山口宗之 2016年4月18日]
『平泉澄・寺田剛編『大橋訥庵先生全集』全3巻(1938~1943・至文堂/改訂版・2006・慧文社)』▽『寺田剛著『大橋訥庵先生伝』(1936・至文堂)』
(高木俊輔)
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