長野県西部,松本市の旧安曇(あずみ)村,梓川上流部の上高地にある湖。1915年(大正4)6月焼岳が大爆発して,大量の泥流を押し出し,梓川をせき止めて形成されたのが南北1540m,東西257m,面積40haの当時の大正池である。立枯れの木々が水につかり,水面には焼岳や穂高連峰が投影して美しい景観をつくっている。しかし半世紀以上を経た池は,上流からの土砂や,焼岳の噴火による泥流(とくに1962年)などによって埋まり,年々狭くなっている。1984年現在,池の面積は半減し,最大深度は3.4mにすぎない。建設省では焼岳山腹に砂防堰堤をつくったり,堆砂を運んだりして,池の景観保存に努めている。
執筆者:市川 健夫
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長野県中西部、北アルプスの上高地(かみこうち)にある堰止湖(せきとめこ)。1915年(大正4)上高地南西部の焼岳(やけだけ)が大噴火し、溶岩流が梓川(あずさがわ)をせき止めてできたもの。当初は南北1540メートル、東西約250メートル、最深部は6メートルであった。穂高(ほたか)岳を背景に梓川河畔の樹木が枯れ木となって湖中に林立する景観は、第一級の自然美をなしていたが、焼岳の泥流や周囲の山々からの土砂が流れ込み、現在では当初の約3分の1になり、池というより梓川の河幅の広い部分といったほうが妥当である。水力発電所の調整池の役割りも果たしているが、このままでは消滅する危機にあり、関係機関が対策の検討を始めた。
[小林寛義]
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…鐘状の成層火山で,1585年(天正13)の大爆発以来,数十回の爆発の記録がある。1915年6月の活動では泥流が東麓に流下して梓川をせき止め,大正池をつくった。北側にも中尾泥流など多くの泥流があり,山体周辺にはなだらかな泥流堆積面が残されている。…
※「大正池」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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