焼岳(読み)やけだけ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

長野県松本市岐阜県高山市にある火山活火山で,常時観測火山飛騨山脈と並走する乗鞍火山帯に属する。標高 2455m。トロイデ型(→溶岩円頂丘)で,安山岩からなる。噴火活動は 1万5000年前頃から始まり,有史以来,数十回の噴火の記録があるが,なかでも 1915年の大爆発の際には大量の火山泥流が押し出され,梓川をせき止めて大正池ができた。1962年には山腹割れ目から噴火した。山頂付近は樹木が生育せず,硫気ガスの噴出を見ることができる。山頂には爆裂火口があり,火口湖となっている。常時多量の土砂が流下し,大正池をせばめている。中部山岳国立公園に属する。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

火山活動は約2万年前から続き、約2300年前のマグマ噴火で山頂部の溶岩ドームができたと考えられている。その後は水蒸気噴火を繰り返しており、1915年の噴火では泥流川をせき止め、大正池が生まれた。62年には噴石により旧焼岳小屋が倒壊。95年には国道工事現場に土砂が噴き出し、作業員4人が死亡した。地元自治体と国などでつくる「焼岳火山噴火対策協議会」が警戒レベルに応じた防災計画などを策定している。

(2014-10-13 朝日新聞 朝刊 長野東北信・1地方)

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百科事典マイペディアの解説

長野・岐阜県境,上高地南西にそびえる飛騨山脈中の溶岩円頂丘。標高2455m。硫黄岳とも呼ばれる。乗鞍火山帯北端にあたる焼岳火山群の主峰で,安山岩からなり,北アルプス唯一の活火山。江戸時代には硫黄岳ともみえる。旧火口と1909年の噴火以後できた新火口があり,1915年の噴火では梓(あずさ)川をせき止めて大正池をつくった。近年では1962年に噴火するなど活発な火山活動を続けており,気象庁が常時観測している。中部山岳国立公園に属し,日本百名山にも選ばれている。上高地,中の湯から登山路がある。
→関連項目安房峠乗鞍火山帯

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世界大百科事典 第2版の解説

長野・岐阜県境にそびえる活火山。標高2455m。飛驒山脈をつくる古生層や花コウ岩の基盤上に噴出した火山で,黒雲母複輝石角セン石安山岩の溶岩からなる。基盤が標高2000m近くまで露出するので,実際の火山体の高さは500m以下にすぎない。鐘状の成層火山で,1585年(天正13)の大爆発以来,数十回の爆発の記録がある。1915年6月の活動では泥流が東麓に流下して梓川をせき止め,大正池をつくった。北側にも中尾泥流など多くの泥流があり,山体周辺にはなだらかな泥流堆積面が残されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

長野・岐阜県境にある活火山。飛騨山脈(ひださんみゃく)(北アルプス)の一峰で、上高地(かみこうち)の西にそびえる。南峰と北峰があり、標高2455メートルの三角点は南峰。北峰は2444メートル。古生層や花崗(かこう)岩を基盤とする、溶岩円頂丘状の安山岩質成層火山。山頂に直径約300メートルの火口があるが、山腹でも割れ目噴火する。1585年(天正13。火山泥流で家屋埋没300余)から、1962~1963年(昭和37~38)の割れ目噴火(噴石で負傷者4人)まで、約10回の噴火記録があるが、ほとんどが水蒸気爆発で、しばしば火山泥流を生じた。1915年(大正4)6月6日の爆発では、大泥流が梓川(あずさがわ)の清流をせき止め、大正池ができた。硫気活動が盛んで、硫黄岳(いおうだけ)とか「アルプスの香炉」と称され、山肌に樹木が育たず、上高地の河童(かっぱ)橋などからカラマツ林を通しての眺望はすばらしい。豪雨時に火山砂礫(されき)層が崩壊し、土石流が大正池を急速に埋め立て、近年は池底の浚渫(しゅんせつ)に追われている。中部山岳国立公園に属し、上高地から中尾峠経由で頂上へは往復5時間の行程。なお、崩落と火山性有毒ガスの発生に伴う規制により、北峰のみ登頂可能。[諏訪 彰]

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精選版 日本国語大辞典の解説

長野県と岐阜県との境、乗鞍岳の北方にそびえる鐘状の成層火山。大正四年(一九一五)の水蒸気爆発で泥流が梓川をせき止め、大正池ができた。岐阜県側では硫黄岳と呼ぶ。標高二四五五メートル。

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