大規模地震対策特別措置法(読み)ダイキボジシンタイサクトクベツソチホウ

デジタル大辞泉 の解説

だいきぼじしんたいさく‐とくべつそちほう〔ダイキボヂシンタイサクトクベツソチハフ〕【大規模地震対策特別措置法】

大規模な地震による災害から国民の生命・身体および財産を保護するために定めた法律。地震防災対策強化地域の指定、地震観測体制の整備、地震防災体制の整備、地震防災応急対策などについて、地震防災に関する特別の措置を定める。昭和53年(1978)成立。大震法

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共同通信ニュース用語解説 の解説

大規模地震対策特別措置法(大震法)

静岡県中西部から駿河湾遠州灘震源域とし、マグニチュード(M)8級と想定される東海地震の対策を定めた。1978年制定で、地震発生直前の予知を前提とした法律は国内で唯一。観測データの異常が確認されれば、専門家による判定会が東海地震の前兆かどうか判断し公表する。発生の恐れが認められると首相が警戒宣言を出し、鉄道の運行停止など強い規制で被害軽減を図る。これまでに警戒宣言が発令されたことはない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

大規模地震対策特別措置法
だいきぼじしんたいさくとくべつそちほう

大規模な地震による災害から国民の生命、身体および財産を保護するため、各般の事項について特別の措置を定めることにより、地震防災対策の強化を図り、もって社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とした法律。略称、大震法。全40条および附則よりなる。1978年(昭和53)6月制定。昭和53年法律第73号(最終改正、平成19年法律第93号)。1978年12月より施行。

 1976年(昭和51)秋に東海地震説が唱えられてから、政府は駿河(するが)湾地域を中心に地震観測体制の強化に努め、地元静岡県においても地震防災体制の強化に格段の努力を傾注しつつあった矢先に、1978年1月14日、伊豆大島近海地震が発生し、これを契機として地震防災に関する特別立法の作業が進められ制定された法律である。

 そのおもな内容としては、
(1)内閣総理大臣は、大規模な地震が発生するおそれがとくに大きいと認められる地殻内において大規模な地震が発生した場合に著しい被害が生ずるおそれがある地域を地震防災対策強化地域に指定する、
(2)指定された強化地域内での観測体制を強化するとともに、一定の者は地震防災に関する計画を作成し、訓練を実施するなど、地震の予知が行われた場合に備える、
(3)地震災害に関する警戒宣言が発せられた場合における地震災害警戒本部の設置および、あらかじめ策定された地震防災計画にしたがって地震防災応急対策が実施される、
(4)さらに交通の規制、応急公用負担等地震防災応急対策を円滑に実施するうえで必要な措置を講ずる、
等について規定されている。

 2010年(平成22)4月の時点で、この法律の適用は東海地震に限られており、静岡県全域のほか、神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知、三重の各県および東京都の一部地域で、合計160市町村が強化地域に指定されている。また、予知体制が確立した場合、大規模地震対策特別措置法の強化地域に指定することを前提に「東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」(平成14年法律第92号、最終改正平成19年法律第93号)、「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」(平成16年法律第27号、最終改正平成19年法律第93号)が制定されている。

[次郎丸誠男]

『震災対策研究会編『宮城県沖地震と大地震対策 大規模地震対策特別措置法の概説』(1979・全国加除法令出版)』『大規模地震対策研究会編『詳解大規模地震対策特別措置法』(1979・ぎょうせい)』『消防庁編『大規模地震対策特別措置法関係法令通達集』(1980・ぎょうせい)』

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改訂新版 世界大百科事典 の解説

大規模地震対策特別措置法 (だいきぼじしんたいさくとくべつそちほう)

1978年11月施行された法律。大規模地震の短期予知ができることを前提とし,(1)大規模地震発生の可能性が特に高く,その場合に被害が著しいと考えられる地域を〈地震防災対策強化地域〉(略して強化地域)として指定し,(2)強化地域の観測体制を整備し,(3)大規模地震の発生が切迫したと判断され〈警戒宣言〉が発令された場合に,関係の県知事や市町村長に特別の権限を与え防災活動の円滑化をはかることで,国民の生命財産を守ることを目的としている。強化地域が指定されると,国,地方公共団体,公共機関,それに防災上重要な施設の管理者は,あらかじめ地震防災計画を立てねばならない。強化地域に設けた観測計器が異常を示した場合,それが地震の前兆であるか否かの学術的判定は気象庁長官の諮問機関である強化地域判定会が行い,警戒宣言は気象庁長官から予知情報を受けた総理大臣が発令する。当面,この法律の適用は東海地震に限られ,静岡県全域のほか,神奈川,山梨,長野,岐阜,愛知各県の一部の地域,合計170市町村が強化地域に指定されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

大規模地震対策特別措置法
だいきぼじしんたいさくとくべつそちほう

昭和 53年法律 73号。大地震の発生にそなえてその予知,防災計画,避難などについて定めた法律。 (1) 地震観測の強化,気象庁長官による地震予知情報の内閣総理大臣への報告,(2) 内閣総理大臣による地震防災対策強化地域の指定,警戒宣言の発表,(3) 内閣府,都道府県,市町村への警戒本部の設置,(4) 防災計画の策定などを規定する。地震学者から指摘されている東海地域の大地震を当面想定して作成された法律である。

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知恵蔵 の解説

大規模地震対策特別措置法

大規模な地震について防災対策の強化を図る法律。1978年施行。大規模な地震の発生が予知された場合に、あらかじめ定められた地震防災計画に基づき、行政、民間が協力して地震災害を防止、軽減する応急対策を講じるという内容。警戒宣言の発令や解除も定められている。現在のところ対象地域は東海地方のみ。

(阿部勝征 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の大規模地震対策特別措置法の言及

【地震予知】より

…短期予知の対象になっているのは現在東海地域だけである。1978年に大規模地震対策特別措置法が発足して,大規模地震の発生の可能性の高い所として,駿河湾を含む東海地域が地震防災対策強化地域に指定され,地震観測点,地殻ひずみ観測点,地下水観測点など各種の観測点が配置され,そのデータが東京の気象庁に電送され,24時間監視体制下にある。もし異常が認められれば地震防災対策強化地域判定会が招集され,地震発生の可能性ありと判定された場合には,内閣総理大臣によって警戒宣言が発せられる。…

※「大規模地震対策特別措置法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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