地球および太陽系天体の運動に基づく時刻システムの総称である。このうち,地球の自転角度に基づくものに,太陽時,平均太陽時,恒星時などがあり,また地球,月,内惑星の公転運動を基準としたものに暦表時がある。前者を自転時,後者を公転時または天体力学時という。自転時の代表例は平均太陽時であり,これは経度0°の子午線に関する平均太陽の時角へ12時を加えたものとして定義される。これは地球の自転角度に正確に比例する量ではあるが,自転速度に変動があるため,物理的に一様な時刻システムとは限らない。一方,暦表時は地球がその公転軌道上で占める位置(黄道上の太陽の位置)を観測して,この結果をその理論位置に照らして定められる。現実には月の位置の観測結果をその天体暦に照らして,暦表時と世界時の差,または暦表時と国際原子時の差として結果が求められている。なお,この天文時に対する用語として,天体運動とはまったく独立な原子時がある。
執筆者:飯島 重孝
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広義には原子時計により定まる原子時に対して、天文学的に決まる時系をいう。地球の自転による世界時系と、公転から決まる暦表時系がある。狭義には平均太陽のグリニジ子午線の南中をもって始まる平均太陽時と、1925年1月1日以後天文学で用いられるようになった、真夜中に始まるグリニジ常用時(世界時)があり、この両者を区別して、正午に始まるグリニジ平均太陽時をグリニジ平均天文時という。
[渡辺敏夫]
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