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中国武術の四大門(太極拳,形意拳,八卦掌(はつけしよう),少林拳)の一つで,長い伝統をもち多くの強剛を輩出した拳法。静かで柔らかな,円を描く動きを特色とする。創始者についてはいくつか説があり,明末・清初の武術家河南省温県陳家溝の陳王延とするもの,温県小留村の将発とするもの,あるいは山西省の王宗岳とするもの,道家の気功法を利用してつくったとするものなどである。いずれにしても太極拳には,古典哲学の陰陽説,漢方医学の経絡説,養生法の導引・吐納がとり入れられ,王宗岳の《太極拳》が基本的理論書となったために,太極拳という名称が確立した。都市部に普及するにつれいくつかの流派が形成されたが,源流とみなされるのは陳式である。らせん状の動きが特徴で,激しい突き蹴りを含み,1928年陳発科が北京に伝えた。陳家溝で陳式を学んだ楊露禅が1850年代に北京に伝え,その孫楊澄甫が型を定めて一派をなしたのが楊式で,動作はのびのびとして大きく,ゆるやかであるため,最も広く普及した。他に呉式,武式,孫式などがある。1956年中国国家体育運動委員会で楊式をもとに制定された簡化24式太極拳は,初心者の入門の型をつくり,健康・体育のために大きな貢献をし,日本への普及にも核となった。制定拳はその後,88式,48式,32式拳など相次いで発表され,また陳式36,38などもつくられている。武術としては,意を用いて力を用いず,あるいは全身のエネルギーを集中する発勁を身につけることが必要とされるなど,長い修練を要する高度な拳法である。
→拳法
執筆者:中藤 保則
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
太極拳は、中国の明(みん)朝末から清(しん)朝初のころ(17世紀)に、河南省に居住する陳(ちん)姓の一族の間で創始された拳法の一種(陳式太極拳)である。その変幻無窮の技法を、古代思想の「太極説」(陰陽理論)によって説き、拳法の名称としたのである。
陳式太極拳には、大架(だいか)(架は姿勢・動作)と小架、老架(古伝の型)と新架(新しい型)の種類があり、のちに楊(よう)式、呉(ご)式、武(ぶ)式(郝(かく)式)、孫(そん)式などを派生した。
各派の太極拳は80前後の技法動作が連結されている拳法の型(套路(とうろ))であり、源流の陳式を除き、一様にゆっくりとした深長呼吸にあわせて、緩やかに円形運動を行うのが大きな特徴であり、意識・呼吸・動作の協調運動である。
源流の陳式は、本来、実戦武術として考案されたものであり、柔軟で緩やかな動作のなかに、激しく力強い動作を含み、円形動作には螺旋(らせん)状のひねり(纏絲(てんし))を伴い、打撃には発勁動作(瞬発力を打ち出す)のが特徴である。
太極拳は、治病と健身に効果が認められることから、近年では健康法として多くの人に行われ、1956年に中国の国家体育運動委員会は、もっとも広く普及している楊式太極拳の型を縮小(重複動作を省略)し、動作を左右均等にした簡化(かんか)太極拳を制定し、「治病健身体操」として国民に奨励している。
[松田隆智]
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(安藤嘉浩 朝日新聞記者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…また拳法を技の性質からみると,内家(ないか)拳と外家(がいか)拳に区別できる。内家拳とはその威力が内に隠れている拳法のことで,柔拳ともいい,太極拳,形意拳,八卦掌(はつけしよう)などがある。力を抜いて体を柔らかくし,動作も呼吸と合わせて緩慢に行う。…
※「太極拳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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