(読み)ヒン

世界大百科事典 第2版の解説

ひん【嬪】

天皇のキサキの称。後宮職員令では,(ひ),夫人(ぶにん)の下位に位置づけられ,定員は4名,五位以上とされた。ただし,これが現実に置かれた例はごく少なく,文武朝における紀竈門,石川刀子娘の2名を認めうるにすぎない。その名称は《周礼》の後宮制度における〈九嬪〉に由来する。令制においては女官の封禄は男子の禄を半減する原則であったが,嬪以上の場合はとくに全給されることとなっていた。後宮【玉井 力】

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大辞林 第三版の解説

ひん【嬪】

律令制における天皇の後宮の一。皇后・妃・夫人に次ぐもので、四、五位の位が授けられた。定員四名。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


ひん

(りょう)制の後宮において妃・夫人の下位を占める身位。三位(さんみ)以上の夫人に対し、四位・五位の者をあて、定員は4人とする。嬪の称は中国隋(ずい)唐の制に由来し、『日本書紀』にも数例みえるが、大宝(たいほう)令制定後は、文武(もんむ)天皇の後宮に紀竈門娘(きのかまどのいらつめ)、石川刀子娘(とねのいらつめ)の2人を数えるだけで、その後の実例は見当たらない。しかし養老(ようろう)令をはじめ、延喜式(えんぎしき)にもその待遇に関する規定が存するから、制度としては平安中期まで存続したことがわかる。[橋本義彦]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ひん【嬪】

〘名〙
① 天皇に侍する後宮女性の地位の一つ。皇后・妃・夫人に次ぐ地位。また、その人。令の制度では、天皇の正妻を皇后、内親王を妃、それ以外を夫人・嬪とした。夫人は三位以上、嬪は四位・五位のもので、後世の女御更衣にあたる。〔令義解(718)〕
② 死んだ妻をいう語。〔温故知新書(1484)〕 〔礼記‐曲礼下〕

よめ‐づかい ‥づかひ【嬪】

〘名〙
① 天皇の寝所に侍する女性の地位の一つ。妃・夫人に次ぐ地位。また、その人。ひん。よめづかえ。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
※太平記(14C後)二四「五日は中務省妃・夫人・嬪(ヨメヅカヒ)。女御の夏の衣服の文を申す」
② (━する) 嫁として舅や姑につかえること。
※壒嚢鈔(1445‐46)四「弐人の玉女、重華の母に嬪(ヨメヅカヒ)する事、懃(ねんころ)也」

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世界大百科事典内のの言及

【後宮】より


[中国]
 天子が家庭生活を営む宮殿で,政務をつかさどる外朝とは機構的にも空間的にも区別されるのが原則であった。天子は皇后のほか多数の妃嬪(ひひん)を抱えたが,すべて後宮に住んだので,皇后以下を後宮とよぶことがある。《礼記(らいき)》昏義に,古代には皇后が六宮を建て,3夫人,9嬪,27世婦,81御妻をひきいて内治をつかさどり,婦徳を明らかにしたとあり,後世の後宮制度の規範となった。…

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