熊本県中部から、南西部の天草諸島(あまくさしょとう)に向けて、長さ約18キロメートルにわたって突出している低山地性の半島。島原湾と八代海(やつしろかい)を分ける。地質的には、半島中央にある大岳(おおたけ)(478メートル)の西麓(せいろく)から以東が火山岩で、それより以西は、半島先端の三角(みすみ)岳(406メートル)による火山岩を除けば、ほとんど堆積(たいせき)岩で覆われる。半島基部には、緑川、大野川によってつくられた沖積平地がある。島原湾に臨む北海岸線も、八代海に臨む南海岸線もともに単調であるが、三角ノ瀬戸に臨む半島先端部は屈曲に富み、三角港(宇城(うき)市)のように天然の良港に恵まれている。道路網は、半島基部を南北に国道3号が、半島北岸を国道57号が、南岸を国道266号がそれぞれ走る。国道266号は三角港を通過して天草へ延びる。国道57号は海上区間を経て島原へ通じる。JR三角線は国道57号に並行しながらその内陸側を走っている。北岸はノリ、アサリ養殖、南岸はミカン栽培が盛んである。なお、半島先端部の宇城市三角町地区は天草パールラインの入口でもある。
[山口守人]
熊本県中部から南西に天草諸島方向へ突き出た幅約4~8.5km,長さ約18kmの陸橋状の半島。北は有明海,南は八代海(不知火海)に面し,行政上は宇土市,宇城市西部に属する。ほぼ中央部に大岳(478m),雄岳(352m)が横たわり,西端に三角岳(406m)が鐘状にそびえる200~400m級の火山性山地である。地質は主として安山岩類,凝灰角レキ岩からなる。北岸は直線状で急崖が迫り,雲仙岳などを望み,景行天皇の巡幸にちなんだ御輿来(おこしき)海岸にふとん岩がある。網津川,網田川沿いの低地以外は耕地に乏しいが,網田(宇土市)はネーブルの産地である。沿岸ではノリ,アサリの養殖が盛んで,長浜,赤瀬,大田尾の海水浴場がある。国道57号線とJR三角線が通じ,先端の三角港は明治以降熊本の海の玄関口,貿易港として発展,1929年に重要港湾に指定された。66年の天草五橋の完成で,阿蘇~熊本~長崎を結ぶ観光ルートの中継地ともなった。南岸は中央山地の尾根が海に突き出し,海岸線は複雑である。緩傾斜地が多く,入江や開析された谷間には耕地が開け,集落が発達している。冬の北西風がさえぎられるので気候は温暖である。山麓の丘陵地では古くから郡浦(こおのうら)を中心にサトウキビ,宇城市の旧不知火(しらぬい)町でビワ,ブドウを栽培してきたが,近年は同市の旧三角町を中心にミカン栽培が盛んである。旧不知火町松合は漁村,永尾(えいのお)付近は旧暦8月1日未明に不知火見物でにぎわう。
執筆者:岩本 政教
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