安平(読み)アンペイ

デジタル大辞泉 「安平」の意味・読み・例文・類語

あん‐ぺい【安平】

[名・形動ナリ]《「あんべい」とも》
安らかで穏やかなこと。また、そのさま。
「四海の―、たなごころの内に照らし」〈浄・吉野忠信
むずかしくないこと。また、そのさま。安易。
「さては―ごさんなれとて、修行にぞ出でにける」〈平家・五〉
軽んじること。安っぽく扱うこと。また、そのさま。
「人を―にいふとき、おれらがといふは」〈塵袋・一〇〉

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精選版 日本国語大辞典 「安平」の意味・読み・例文・類語

あん‐ぺい【安平】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「あんべい」とも )
  2. 安らかにおだやかなこと。平穏。安穏。安泰。
    1. [初出の実例]「孔子はおひと天然恭あるほどに安平なるぞ」(出典:足利本論語抄(16C)述而第七)
    2. [その他の文献]〔周礼‐秋官・小行人〕
  3. わけもなくたやすいこと。また、いいかげんに対処すること。容易。安易。
    1. [初出の実例]「さてはあんべいごさんなれとて、修行にぞ出でにける」(出典:平家物語(13C前)五)
  4. 取るに足りないさま。安っぽいさま。
    1. [初出の実例]「人を安平に云ふ時、をれらがと云ふは、われらがと云ふ心歟」(出典:塵袋(1264‐88頃)一〇)

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改訂新版 世界大百科事典 「安平」の意味・わかりやすい解説

安平[町] (あびら)

北海道南西部,胆振(いぶり)支庁勇払(ゆうふつ)郡の町。2006年3月追分(おいわけ)町と早来(はやきた)町が合体して成立した。人口8726(2010)。

安平町北部の旧町。胆振支庁勇払郡所属。人口3906(2005)。1952年安平村から分立して追分村を創設し,53年町制。室蘭本線と石勝線が交わる。夕張山地西縁の丘陵と馬追丘陵が町域の大部分を占め,山林面積が広い。北部は由仁安平(ゆにあびら)低地の一角で,ここに農耕地が開け,安平川段丘面水田が立地する。夕張炭田の石炭輸送のために1892年,追分~夕張間に鉄道(現,JR石勝線)がしかれ,追分に機関区が置かれて以来,鉄道の町として発展した。1972年から国営の開発事業による酪農が導入され,メロン栽培も盛んである。千歳市に隣接しており,市街地南部に住宅団地造成が進められている。JR室蘭本線が通り,道東自動車道のインターチェンジがある。
執筆者:

安平町南部の旧町。胆振支庁勇払郡所属。人口5225(2005)。町域の大部分は火山灰に覆われた丘陵地で,中央を安平川が南流する。1892年の北海道炭礦鉄道会社室蘭線(現,JR室蘭本線)の開通と94年の早来駅の開業に伴い,水利の便に恵まれた安平川支流の支安平川流域に鳥取団体,阿波団体の入植が相次いだ。また南の遠浅(とあさ)地区には牛馬飼育を目的とする牧場が開かれたが,酪農は1930年に滝川から入植した30余戸によって本格化し,チーズや練乳工場が設置された。現在も酪農中心の町で,特に遠浅は乳牛改良の先進地として多くの優良牛を道内外に供給する。また軽種馬の生産も歴史が古い。最近は苫小牧東部工業基地に対応した工業化も進められている。早来駅南西方の,国道234号線沿いには鶴ノ湯温泉(純食塩泉,11℃)がある。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「安平」の意味・わかりやすい解説

安平(町)
あびら

北海道南西部、胆振(いぶり)総合振興局管内の勇払(ゆうふつ)郡にある町。2006年(平成18)勇払郡追分町(おいわけちょう)、早来町(はやきたちょう)が合併して成立。町域の北東部は夕張(ゆうばり)山地に連なる山地、南部は勇払平野の平地。この間に馬追(うまおい)丘陵へと続く丘陵地が広がり、町の中心部を安平川が南へ流れる。高原気候と海洋性気候をあわせもち、秋から冬にかけて晴天が多く雪は少ない。南部では一年を通して温暖、北部では冬の寒さが厳しい。JR室蘭(むろらん)本線、石勝(せきしょう)線、国道234号が通じ、道東自動車道の追分町インターチェンジがある。北の空の玄関口新千歳(しんちとせ)空港にも近い。町内にはゴルフ場が多くある。日本におけるチーズ発祥の地といわれ、古くから酪農が盛ん。近年は軽種馬(競走馬)の生産が活発になっている。耕作物では北部追分地区で特産のメロン、アスパラなどの野菜、麦類のほか、花卉(かき)栽培が増加傾向にある。新千歳空港や、苫小牧(とまこまい)港などに近い地の利を生かし、南部の早来地区では工業誘致も積極的に行われている。面積237.16平方キロメートル(一部境界未定)、人口7340(2020)。

[編集部]



安平
あんぺい / アンピン

台湾の南西部にある台南市の一地区。台南市中心部の西約5キロメートルに位置し、台湾海峡に臨む小漁港があり、史跡地でもある。鯤(こんしん)ともよぶ。1623年オランダ人が台湾南部を占領し、この地にゼーランディア城(現、安平古堡(こほ))を築いた。この城は別名を紅毛(こうもう)城、番仔(ばんし)城または王城とよび、台湾最初の城であった。1661年、鄭成功(ていせいこう)が攻略し安平鎮(ちん)と改名、以後台湾府の所在地台南の外港として繁栄したが、曽文渓(そぶんけい)から流入する土砂の堆積(たいせき)により、しだいに港湾機能を失った。現在では城址(じょうし)が昔日のおもかげをしのばせている。

[劉 進 慶]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「安平」の意味・わかりやすい解説

安平
あびら

北海道南西部,安平町中央部の旧村域。夕張山地馬追丘陵の間の由仁安平低地に位置する。 1906年村制施行。 1952年村域の一部が分離し追分村設置 (1953町制施行) 。 1954年早来村と改称。 1957年町制施行により早来町が成立。 2006年追分町と合体して安平町となった。地名はアイヌ語のアラピラペツ (片側に崖をもつ川の意) に由来。 1895年鳥取県から入植し,安平川の支流域で米作を始め,安平村をつくった。

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百科事典マイペディア 「安平」の意味・わかりやすい解説

安平【あんぺい】

台湾の台南市西郊にある外港。明代の万暦年間に漢民族が移住。1624年にオランダ東インド会社が占拠してゼーランジア城を築き,台南市内のプロビンチアとともに貿易・経営の中心とした。1662年,明の遺臣鄭成功がオランダ勢力を駆逐し,ゼーランジア城を安平城と改称,鄭氏政権が王城とした。1858年天津条約により開港。日本統治時代の1920年に台南に編入。

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普及版 字通 「安平」の読み・字形・画数・意味

【安平】あんぺい

無事。

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