デジタル大辞泉
「四海」の意味・読み・例文・類語
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し‐かい【四海】
〘名〙
① 四方の海。よものうみ。
※菅家文草(900頃)二・九月九日、
侍宴「較
二量皇恩沢
一、翻
二来四海波
一」
② (四方の海のうちの意から) 国内。くにじゅう。また、世界。世の中。天下。
※続日本紀‐養老五年(721)三月癸丑「朕君二臨四海一。撫二育百姓一」
※
平家(13C前)七「平相国といふ者あり。四海を管領して万民を悩乱せしむ」 〔書経‐説命〕
③ 四方の外国。国のまわり。四方のえびす。
※集義和書(1676頃)七「夷・蛮・戎・狄も、
仁政をしたひ威武を恐て来服す。是を四海一家の如く中国一人の如しと云」 〔書経‐益稷〕
④ 仏語。
須彌山(しゅみせん)をとりまく四方の外海。
※観智院本三宝絵(984)下「
輪王の四海の
ほかにめぐりてたのしびをほく身かうばしきも」 〔
経律異相‐四二〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
四海 (しかい)
sì hǎi
天下の意。古代の中国人は中国の四方を海がとりまいていると考えた。《爾雅(じが)》が中国の九州の外に四極,その外に四荒,さらにその外に四海がひろがり,四海は九夷,八狄,七戎,六蛮など野蛮人の住地であるというのは,海hǎiと晦 huìの音声の類似から,海が文明の光のとどかぬ“晦(くら)い”ところと意識されたからである。また中国医学では,人間のからだに髄海,血海,気海,水穀の海の四海を想定し,十二経水がこれら四海に注ぐと考えた。
執筆者:吉川 忠夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報