朝日日本歴史人物事典 「宝井馬琴(4代)」の解説
宝井馬琴(4代)
生年:嘉永5.12.22(1853.1.31)
幕末から大正期まで活躍した講談師。本名小金井三次郎。高座歴六十余年,軍談物,武芸物で知られた名物男で,愛称は「雪降りのチンコロ」。江戸中橋に初代宝井琴凌(3代目馬琴)の子として出生。父の死後初代西尾麟慶を頼り,慶豊,小麟慶,調窓を経て父名を継ぎ夜席の真打。このころの講談席の様子が,夏目漱石晩年の随筆『硝子戸の中』に描かれている。明治31(1896)年には馬琴を襲名。当時の『やまと新聞』付録にその速記録「夜鷹煙草」(大岡政談)が残る。晩年『都新聞』に「講談界昔咄」を連載。なお,この人を3代目とするものもあるが誤り。<参考文献>6代目馬琴『講釈師見てきたような…』,5代目馬琴『わが師・わが友・わが芸道』
(吉沢英明)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報