改訂新版 世界大百科事典 「宮古湾」の意味・わかりやすい解説
宮古湾 (みやこわん)
岩手県東部,陸中海岸のほぼ中央部にある湾。重茂(おもえ)半島北端の閉伊(へい)崎の南西2kmの追切と西岸の臼木山半島の館ヶ崎を結ぶ線より南の海域で,湾口の幅4km,奥行き10km。西岸の宮古市街地には閉伊川の河口が開け,湾奥部には津軽石川が注ぐ。東側の重茂半島西岸には,北東から南西に走る約12kmのみごとな直線状の断層線が走っている。1869年(明治2)3月25日早暁,榎本武揚率いる旧幕軍の軍艦が,宮古港に入港した官軍艦船〈甲鉄〉と一戦をまじえた〈宮古湾海戦〉の舞台となった。閉伊川河口の北岸に鍬ヶ崎(くわがさき)漁港と1万トン岸壁の宮古港があり,さらに藤原海岸の埋立てによって4万トン岸壁が建設され,商業港となっているが,宮古湾口が水深60m,湾央部で20mと比較的浅く,また定置漁業やノリ,カキの水面養殖が行われ,サケの遡上するところでもあるため,港湾の工業的発展には問題も多い。
執筆者:川本 忠平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報