寒行(読み)カンギョウ

デジタル大辞泉 「寒行」の意味・読み・例文・類語

かん‐ぎょう〔‐ギヤウ〕【寒行】

寒中に、寒苦に耐えて行う修行寒念仏寒参り寒垢離かんごりなど。 冬》

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精選版 日本国語大辞典 「寒行」の意味・読み・例文・類語

かん‐ぎょう‥ギャウ【寒行】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。寒の三〇日間、寒さを耐えしのんで行なう修行。寒垢離(かんごり)、寒念仏、寒参りなど。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「寒行や講も頼まぬ御名代」(出典:俳諧・八番日記‐文政三年(1820)一一月)

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改訂新版 世界大百科事典 「寒行」の意味・わかりやすい解説

寒行 (かんぎょう)

小寒から節分までの寒中30日間に,僧俗ともに行う修行。一年中で最も寒い時期の修行であるために,厳しい苦行となるが,その苦行が多くの功徳(くどく)をもたらすという信仰が背景にある。一般に寒行には僧侶を中心とした寺堂や道場での座禅誦経・念仏・題目のほか,鉦を叩きながら民家の軒先社寺を巡って念仏や和讃を唱える〈寒念仏〉,鈴を振りながら裸足で薄着して社寺に参詣し祈願する〈寒参り〉,冷水を浴びて神仏に祈願する〈寒垢離(かんごり)〉などの所作がある。〈寒念仏〉について,文化年間(1804-18)に編まれた《会津風俗帳》には〈堂社修繕建立のため,出家又は信心の男女四五人連にて和讃念仏を唱へ,村々相廻り,米少々つゝ出す〉と托鉢の状況を記し,同時期の《歳時謾録》には六斎念仏の行者城下や無常所を夜行したと記し,《続飛鳥川》には白木綿の単物と頭巻を着し,鈴を振って歩行し,絵札をまく願人坊主の姿を記している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「寒行」の意味・わかりやすい解説

寒行
かんぎょう

寒苦に堪え忍んで修行すること。寒修行(かんしゅぎょう)ともいう。寒(かん)の入りから30日間、毎日、托鉢(たくはつ)や誦経(じゅきょう)、坐禅(ざぜん)、念仏(ねんぶつ)、題目(だいもく)などを行う。温暖な時期に比較して忍苦の度が大きいので、その功徳(くどく)も多大であるという信仰に基づく。鉦(かね)をたたいて念仏や和讃(わさん)を唱えて市中を巡行するのを寒念仏といい、神社仏閣に参るのを寒参り、神仏に祈誓して寒中に水を浴びるのを寒垢離(かんごり)という。一般の人が技能の熟達を神仏に願い、寒行することもある。

[石川力山]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「寒行」の意味・わかりやすい解説

寒行
かんぎょう

寒の 30日間,寒さを忍んで坐禅,托鉢,誦経,念仏,題目などの修行を行うこと。寒念仏,寒参り,水を浴びる寒垢離 (かんごり) などがある。

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世界大百科事典(旧版)内の寒行の言及

【寒稽古】より

…現代武道においてもこの伝統的な稽古法は広く行われ,寒中に5~15日くらいの間で日数を定め,早朝寒さにうちかって激しい訓練をすることにより,精神的錬磨をおもな目的としている。このような稽古法は〈寒行〉,あるいは〈寒修行〉といわれて,古くから行われていた神道,仏教の修行法にその原形を見ることができる。例えば,神社に裸,素足で参詣する寒参り,または寒詣,あるいは参籠,禊祓(みそぎはらえ)や水垢離(みずごり)といった苦行,仏教では奈良時代から行われていた仏名会(ぶつみようえ),山伏の苦行などの思想や方法が一体化して,芸道にもこのような修行法が形成されていったのであろう。…

※「寒行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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