熊本県玉名郡の小代(小岱とも)山麓(さんろく)で焼かれた陶器。八代(やつしろ)焼と並ぶ名窯で、福岡県の上野(あがの)窯の系譜を引き、細川忠利(ただとし)が小倉(こくら)城から熊本城に移封された1631年(寛永8)に、上野焼の陶工源七と八左衛門が小代山の北東麓に開窯した。両家とも44年(正保1)に藩から御赦免開きの特権が与えられ、以後江戸末期を最盛期として、1936年(昭和11)ごろ廃窯となった。上野焼系の藁(わら)灰白釉(ゆう)と黒褐釉を基本に、日用雑器のほか茶具の瀟洒(しょうしゃ)な作品が残る。「小代」「松風(まつかぜ)」「牝小路(ひんのこうじ)」「葛城(かつらぎ)」「五徳」などの角印や小判形印を捺(お)しており、松風焼ともいう。
[矢部良明]
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報
…戦前の工場跡地付近は総合運動公園,三井グリーンランド,ゴルフ場となり,近年台地には住宅団地や大規模なショッピングセンターができている。周辺では17世紀初めに起源をもつといわれる小代焼,ナシ,ミカンを産し,県立公園小岱山麓に古代の窯跡や製鉄跡群,三宮古墳の石人のほか,宮崎八郎,民蔵,滔天3兄弟の生家と滔天と孫文の深い交流を物語る宮崎兄弟資料館がある。孫文の記念館がある。…
…山麓に玉名温泉,石貫ナギノ横穴群,蛇ヶ谷公園がある。近世に北東麓で始められた唐津風の小代焼は,現在も荒尾市府本などでつくられている。【岩本 政教】。…
…南部は小岱山(しようだいさん)県立自然公園に属する。また1632年(寛永9)細川忠利の熊本入部に従ってきた上野(あがの)焼の陶工が始めた小代焼の窯跡が残り,現在も茶器,壺,植木鉢などの日用陶器を焼く。【松橋 公治】。…
※「小代焼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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