小忌衣(読み)オミゴロモ

デジタル大辞泉 「小忌衣」の意味・読み・例文・類語

おみ‐ごろも〔をみ‐〕【小忌衣】

物忌みしるしとする清浄な上着大嘗祭だいじょうさい新嘗祭しんじょうさいなどに奉仕する小忌人おみびと祭官などが装束の上に着る。白布に花鳥草木などの文様青摺あおずにし、右肩赤ひもという赤黒2本のひもを垂らす。おみころも。おみ。 冬》

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精選版 日本国語大辞典 「小忌衣」の意味・読み・例文・類語

おみ‐ごろも をみ‥【小忌衣】

〘名〙
物忌(ものいみ)のしるしとする清浄な上衣(うわぎ)大嘗会(だいじょうえ)新嘗会(しんじょうえ)などで、小忌の人、祭官、舞姫などが装束の上に着る。白布に春の草木や小鳥などを青ずりにし、右の肩に赤ひもを二本たらす。身分によって、形はことなる。おみのころも。小忌摺(おみずり)。おみ。《季・冬》
※公任集(1044頃)「小忌衣袂にきつつ石清水心をなへてくますもあらなん」
② 粗末な衣服
秋山記行(1831)一「老婆が海藻髪の乱れたると、小忌衣にいかにも憔悴したると」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小忌衣」の意味・わかりやすい解説

小忌衣
おみごろも

日本古代以来の祭服の一種。小忌とは不浄を忌み嫌う、すなわち清浄という意味で、大嘗会(だいじょうえ)や新嘗祭(にいなめさい)などの宮中神事に、小忌人(おみびと)とよばれる祭官や、舞姫が着用する上着。束帯(そくたい)の袍(ほう)の上、または女房装束の唐衣(からぎぬ)の上に着装する白の麻布製で、身頃(みごろ)には春草、梅、柳、鳥、領(えり)に蝶(ちょう)、鳥などを山藍摺(やまあいずり)(青摺)で表す。右の肩に、赤紐(あかひも)という赤、黒二筋の組紐をつけて垂らす。舞楽の「東遊(あずまあそび)」を神社の庭上で奉奏するときに、舞人や歌方が着用する小忌衣は袍の形で、前者が桐竹(きりたけ)文、後者が棕梠(しゅろ)文を山藍摺で表し、赤紐は左肩につけられている。

[高田倭男]


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