後立山連峰の北部にそびえる。標高二九三二・二メートル。山頂は
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飛驒山脈北東部につらなる後立山(うしろたてやま)連峰の主峰。この山と南の杓子(しゃくし)岳(2812m),鑓ヶ岳(やりがたけ)(2903m)を合わせて白馬三山という。標高は2932mで,飛驒山脈北部では立山,劔岳に次ぐ高峰。長野,富山の県境に位置し,頂上北方1kmの三国境(さんごくざかい)で新潟県とも接している。古くは周囲の山々を含めて蓮華(れんげ)山,白馬岳は大蓮華山とよばれ,山頂北東の小蓮華山(2766m)や,北東麓の蓮華温泉(新潟県糸魚川市)にそのなごりがみられる。白馬岳は残雪が多く,北東斜面に白馬沢雪渓,南東斜面に大雪渓があり,頂上付近にも大小の雪田が散在し,融雪水が高山植物の繁茂をささえている。白馬岳の名は,春先に雪がとけて頂上直下の東斜面の岩肌が馬形に現れる残雪模様(雪形)を,北安曇(きたあずみ)地方で代(しろ)かき馬とみて農事暦に利用し,山を代馬(しろうま)岳と称していたことによるという。
山頂の東側には急崖が連続し,松川の浸食が頂上直下におよんでいる。これに対して西側には緩斜面がひろがり,典型的な非対称山稜をなしている。白馬岳は1902年に日本で最初に氷河地形が確認された山で,東斜面に葱平(ねぶかつぴら)カール,杓子岳カール,白馬沢カールや,それにつづく大雪渓,白馬沢の氷食谷がある。氷河が最も拡大した時期の端堆石(たんたいせき)は,頂上から北股入谷を8km下った標高1100m付近に分布している。一方,西側の緩斜面には,植被にとぼしい岩屑(がんせつ)斜面が広がり,構造土をはじめ各種の周氷河地形が発達している。豊かな残雪と高山植物のお花畑,頂上からの眺望のよさに加え比較的登りやすいことから,明治中ごろから近代的登山がはじめられ,日本で最も人気のある山の一つになっている。四方から通じる登山道はとくに長野県側がよく整備されている。山頂近くには白馬山荘や頂上ホテルがある。JR大糸線白馬(はくば)駅からバスで猿倉にいたり,大雪渓を登りつめる最短コースが一般的な登山路である。1958年東麓の八方尾根(はつぽうおね)にケーブルが架設され,スキー場が開かれたのを契機に,中腹から山麓にかけて多くのスキー場が開発された。
執筆者:小疇 尚
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長野・富山県境にそびえる山で、北アルプス後立山連峰の北部に位置する。標高2932メートル。槍ヶ岳(やりがたけ)や穂高岳(ほたかだけ)とともに北アルプスではもっとも人気のある山で、南に続く杓子岳(しゃくしだけ)(2812メートル)、鑓ヶ岳(やりがたけ)(2903メートル)とともに白馬三山とよばれる。非対称山稜で、東側は急崖(きゅうがい)をなして中央構造線に臨み、西側は比較的緩やかな傾斜で黒部峡谷に至る。古生界の粘板岩や砂岩からなり、山頂付近は緑色の蛇紋(じゃもん)岩と白色の珪長(けいちょう)岩が目だつ。山頂近くに氷河地形のU字谷がある。日本三大雪渓の一つ白馬大雪渓で、登山者に人気のある場所の一つである。大雪渓上部の葱平(ねぶかっぴら)周辺は高山植物の宝庫で、白馬岳のお花畑とよばれる。ウルップソウ、コマクサ、トウヤクリンドウ、ユキワリソウ、クロユリなどがあり、特別天然記念物に指定されている。なお、シロウマの名のつく植物が15種ほどある。
江戸時代には加賀藩の下奥山廻(まわ)りの順路にあり、1697年(元禄10)の登山記録がある。1894年(明治27)イギリス人のウェストンが登っており、1906年には山小屋が置かれた。白馬登山は東麓(とうろく)の猿倉(さるくら)(長野県北安曇(きたあずみ)郡白馬(はくば)村)までバスの便があり、猿倉から頂上まで約6時間の行程である。
山名は、4月下旬に雪解けが始まると白馬岳と北に続く小蓮華山(これんげさん)との鞍部(あんぶ)直下に大きな馬、小蓮華の右肩に小さな馬の形をした岩が黒く現れる。これを山麓の農民が代掻(しろかき)馬に見立てて苗代の準備をする目安にした。代掻馬が代馬岳となり、地形図作成の際、白馬岳となったといわれる。
[小林寛義]
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