株主の権利のうち、一人または数人の株主が総株主の議決権の一定割合または一定数以上の株式保有を要件として行使できる権利。少数株主権とされている権利は、その行使には濫用の危険があるため、行使の要件を厳しくする必要から、一人または数人の持株数を合算して、一定割合または一定数以上の株式を有する株主のみが行使できるとしている。各株主がその持株数にかかわりなく行使できる単独株主権と異なる。具体的には、行使前6か月間総株主の議決権の1%以上または300個以上の議決権を有する者が行使できる提案権(会社法303条、305条)、行使前6か月間総株主の議決権の1%以上有する株主が行使できる総会検査役選任請求権(同法306条)、総株主の議決権の3%以上または発行済株式総数の3%以上を有する株主が行使できる帳簿閲覧権(同法433条)・検査役選任請求権(同法358条)などがある。なお、非公開会社(全部株式譲渡制限会社)では、行使前6か月間要件はない。
[戸田修三・福原紀彦]
株式会社の発行済株式総数の一定割合または一定数の株式を有する株主(数人の持株数を合算してもよい)に限って行使できる権利。1株を有する株主でも行使できる単独株主権に対するものである。自益権はいずれも単独株主権であるが,共益権のうち,株主総会の決議,取締役の業務執行などの会社の運営を監督是正する権利には少数株主権とされるものがある。少数株主権は,主として多数者の専横をおさえて会社および各個の株主の利益を守るために認められたものであるが,権利の濫用の危険を顧慮して,一定割合または一定数の株式保有を要件としたものである。保有要件は各権利について一様ではなく,現行法上は,発行済株式総数の100分の3以上(株主総会招集請求権,取締役・監査役解任請求権,帳簿閲覧権など),100分の1以上(株主総会検査役選任請求権),100分の1以上もしくは300株以上(提案権),および10分の1以上(解散判決請求権など)の4種のものがある。
→株主
執筆者:青竹 正一
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…すなわち,48年に株金分割払込制度を廃止したのに続いて,50年にはアメリカの制度を広範にとり入れた大改正が行われた。それは,(1)授権資本制度等を採用することにより資金調達の便宜を図る,(2)株主総会の権限を縮小すると同時に取締役会制度・監査役制度を改正して会社運営機構を合理化する,(3)少数株主権の強化,取締役の責任の厳格化等により株主の地位の強化を図る,ことを主眼点とするものであった。その後の株式会社法の改正としては,62年の計算(企業会計)を中心とする商法改正,資本自由化を前にした66年の株式の譲渡制限・譲渡方法等に関する改正,粉飾決算にからむ大型倒産を機に監査役の地位強化と会計監査人制度の導入を柱とした74年改正等が行われたが,74年改正の直後から,会社法の全面的見直しおよび改正の作業が始まり,81年に改正が実現した。…
…監督是正権は,多数派株主による会社の運営から生ずる病理現象の防止または排除のために認められる権利であって,少数派株主の保護を目的とする。
[単独株主権・少数株主権]
単独株主権とは,1株のみを有する株主でも行使しうる権利で,自益権はすべてこれに属する。共益権のうち,議決権はこれに属するが,監督是正権では,設立無効訴権,総会決議取消訴権,累積投票請求権,代表訴訟提起権,取締役・清算人の違法行為差止請求権,新株発行差止請求権,新株発行無効訴権等,そのうちの一部がこれに属するにとどまる。…
※「少数株主権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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