山梨市(読み)ヤマナシシ

デジタル大辞泉 「山梨市」の意味・読み・例文・類語

やまなし‐し【山梨市】

山梨

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日本歴史地名大系 「山梨市」の解説

山梨市
やまなしし

面積:五三・一一平方キロ

県のほぼ中央部、甲府盆地の北東に位置し、北は東山梨郡牧丘まきおか町、東は塩山市・東山梨郡勝沼かつぬま町、西から北西にかけては東山梨郡春日居かすがい町と甲府市、南は笛吹川の支流川を挟んで東八代郡一宮町。市の中央部を笛吹川・おも川が北東から南西へ流れる。この三川が合流して笛吹川本流となり、甲府盆地を南西流する。南北八・五キロ、東西一〇・八キロで、標高差は一一二三メートル。笛吹川とほぼ並行するかたちで国道一四〇号が通り、市の南端を国道四一一号がかすめる。東西にJR中央本線が通り、市内には東山梨駅・山梨市駅が設けられている。市名は昭和二九年(一九五四)二町五ヵ村が合併した際、古代以来の郡名を採用した。

〔原始・古代〕

旧石器時代の遺跡は未発見であるが、昭和三六年に江曾原えぞはら字ヤナさきあに(江戸時代はエガワとよばれた)河床からナウマンゾウの化石が発見されている。同所は平成六年(一九九四)に発掘調査が実施され、ナウマンゾウやオオツノシカなど大型哺乳類の化石が検出された。放射性同位炭素による年代測定では三万―四万年前の年代が測定され、同所に大型獣を追う人々が生活した可能性が指摘されている。出土した化石は県の天然記念物に指定されている。縄文時代の遺跡は二〇ヵ所を数える。遺跡は七日市場なのかいちば下石森しもいしもりおよび兄川・くぼ(弟川)流域に集中しており、中期に属するものが多い。明確な遺構が確認されたのは昭和二四年に発掘調査された七日子ななひこ遺跡のみで、中期の石囲炉三基が確認されている。また東後屋敷ひがしごやしき遺跡からは中期前葉の、平成五年調査のみやまえ遺跡では前期後葉から後期初頭の遺物が検出されている。弥生時代の遺跡は五ヵ所にすぎず、重川下流域と落合おちあいに分布するが、発掘調査例はない。古墳時代の遺跡としては市西部の山麓地帯に五基、上神内川かみかのがわに二基、さんしよに一基、計八基の後期古墳が確認されている。規模の大きな横穴式石室をもつ牧洞寺ぼくとうじ古墳は地域首長の墳墓と推定され、当時甲府盆地に対峙した甲府・御坂みさかの二大勢力に次ぐ政治勢力がこの地に台頭した状況を示している。同時期の集落は上神内川と大野おおの周辺に集中分布する。

奈良・平安時代の遺跡は六〇ヵ所を超え、市のほぼ全域に集落が拡散した状況を呈する。その代表ともいえるのが昭和二四年から同四八年の間に五次にわたる調査が実施された小原東八日市場こばらひがしようかいちば日下部くさかべ遺跡で、二九軒に上る平安時代の竪穴住居跡や掘立柱建物跡を検出した。


山梨市
やまなしし

2005年3月22日:山梨市と東山梨郡三富村・牧丘町が合併
【三富村】山梨県:東山梨郡
【牧丘町】山梨県:東山梨郡
【山梨市】山梨県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山梨市」の意味・わかりやすい解説

山梨〔市〕
やまなし

山梨県北東部,甲府盆地の東部にある市。笛吹川が市の北東部から南西に向かって流れ,北西で長野県,北東で埼玉県に接する。 1954年日下部町,加納岩 (かのいわ) 町と山梨村,八幡村,岩手村,後屋敷村,日川村の5村が合体し市制施行。 2005年牧丘町,三富村と合体。地名は平安期の郷名にちなむといわれる。中心地区は,青梅街道の宿場町として早くから栄えた日下部 (現在の JR中央本線東山梨駅付近) と加納岩 (同山梨市駅周辺) で,連続して市街地を形成。古くから米作と養蚕が盛んであったが,第2次世界大戦後はブドウ,モモの果樹栽培への転換が進んだ。在来のカキ栽培も盛ん。観光ブドウ園も普及。西沢渓谷や乾徳山などの景勝地があり,観光業も重要。ワイン醸造,電気機器工場などが立地し,多目的の広瀬ダムがある。夢窓疎石の開山と伝えられる清白寺の仏殿は国宝に指定されており,また窪八幡神社は甲斐源氏の尊崇を受け,国の重要文化財に指定されている建造物を多数擁する。笛吹川河畔の万力林は武田信玄が治水のために植林したといわれるマツ林で,公園となっている。北部一帯が秩父多摩甲斐国立公園に属する。 JR中央本線が市の南部を横断。笛吹川沿いを通る国道 140号線は,雁坂トンネルで埼玉県に通じる。面積 289.80km2。人口 3万3435(2020)。

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