岡山城跡(読み)おかやまじようあと

日本歴史地名大系 「岡山城跡」の解説

岡山城跡
おかやまじようあと

[現在地名]岡山市丸の内一―二丁目・内山下二丁目

岡山市の市街地中央部、南流する旭川が東側に湾曲する部分の西岸に位置する。岡山の地には柴津岡山・いし山・天神てんじん山と称する三丘陵があり、岡山の名は柴津岡山からきたといわれる。南北朝期には当地に名和氏の一族上神高直の居城があったといわれ(桜雲記)、その後応仁元年(一四六七)赤松政則が岡山城を攻め落し、その跡に赤松氏被官の松田氏が居城していた(「続太平記」、「松田氏系譜」岡山市史)大永年間(一五二一―二八)以降は松田氏に属した金光氏がいたが(備前軍記)、いまだ中世的山城の域をでないものであったと考えられる。元亀元年(一五七〇)岡山城主金光宗高を謀殺した宇喜多直家が、自己の居城亀山かめやま城が狭小になったこともあって、それまでの岡山城地を大幅に拡張する改修を行ったうえで、天正元年(一五七三)岡山に入城した。直家までは石山に築かれていて、現在の二の丸跡の池田家祖廟の郭が直家時代の本丸跡とされている。柴津岡山に鎮座の岡山明神(酒折宮、現岡山神社)天神山(石関町)へ、城の足下の二の丸の地に所在していた金光山岡山寺を城の西の磨屋とぎや町へ、内山下うちさんげの地の蓮昌れんじよう寺を森下もりした村に、今村いまむら宮を今村に移転させた。

城下備前・美作の富豪らを招いて町造りを命ずるなど、のちの岡山城下町の骨格は直家時代に形成されたという。天正九年直家が病没すると嗣子秀家が跡を継ぎ、備前・美作、備中二郡、播磨のうち赤穂あこう佐用さよう二郡の領有を羽柴秀吉から認められ、慶長三年(一五九八)段階では四七万四千石を領したといわれる(日本賦税)


岡山城跡
おかやまじようあと

[現在地名]近江八幡市牧町

琵琶湖に注ぐ日野川河口の東方、岡山に位置し、水茎みずくき城ともいう。現在は水茎すいけい内湖干拓によって陸続きとなっているが、かつては陸繋島にあった浮城で、湖上水運を押える要衝の地に位置した。岡山は琵琶湖に接するかしら(一四七・八メートル)、その南東の(一八七・七メートル)、さらに南側のうしろ(亀山とも、一一三・七メートル)の三丘陵からなる。南北朝頃に六角氏の支城として築かれたと伝えられるが、永正五年(一五〇八)将軍足利義澄が六角氏の重臣伊庭貞隆とその被官九里員秀を頼り、当城に入城(「拾芥記」同年四月一六日条など)、この頃本格的な築城がなされたと考えられる。


岡山城跡
おかやまじようあと

[現在地名]亀岡市余部町

大堰おおい川の右岸、河岸段丘の上にある中世の城跡。中世は篠山街道と丹後道の分れる要衝の地であった。丸岡まるおか城ともいう。現余部あまるべ町の住宅地の一角をなす。

寛政八年(一七九六)の丹東城塁記(永光家蔵)に、

<資料は省略されています>

とみえる。天正年間(一五七三―九二)明智光秀の進攻により、波多野氏の配下、福井因幡守は当城で討死する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「岡山城跡」の解説

おかやまじょうあと【岡山城跡】


岡山県岡山市北区丸の内ほかにある城跡。岡山市街地のほぼ中央に位置する。備前を統一し戦国大名に成長した宇喜多直家(うきたなおいえ)が、それまであった国人金光氏の城砦を改築し、城下町の建設にとりかかった。直家死去後は子の秀家に引き継がれ、1597年(慶長2)には天守が竣工して、城下町の大綱が定まった。秀家は豊臣秀吉指図で、城の北から東にかけて旭川をめぐらし、南から西に3重の堀をつくって背後を固めた。秀家時代の岡山城は、現在の岡山城の原形といえる。その後、関ヶ原の戦いで宇喜多氏は没落し、小早川秀秋(こばやかわひであき)・池田忠継(ただつぐ)・池田忠雄(ただかつ)と3代の城主による改装を経て、1630年(寛永7)ごろ完成したとされる。岡山城は、北東隅の本丸を中心に、二の丸、三の曲輪(くるわ)、三の外曲輪が南西方向に拡張する典型的な梯郭式の配置である。1632年(寛永9)、忠雄の死去後は光仲(みつなか)が跡目を嗣いだが国替えとなり、光仲の従兄で鳥取藩主の池田光政(みつまさ)が岡山城主となって幕末まで池田氏時代が続いた。戦災天守閣と石山門が焼失し、月見櫓(やぐら)と西ノ丸西手櫓(ともに重要文化財)が残っているだけだが、旭川をはさんで本丸跡と後楽園の一帯は城郭の面影を残している。1987年(昭和62)に国の史跡に指定された。また発掘調査で、内堀北辺の石垣などの遺構が発見され、2007年(平成19)に追加指定された。現在、天守閣などが再建され、烏城(うじょう)公園として整備されている。JR山陽新幹線ほか岡山駅から徒歩約20分、または岡山電気軌道東山本線「城下」下車、徒歩約7分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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