茨城県南西部、つくば市内にある研究学園都市をいう。首都東京の過密状態を緩和するために国の試験・研究機関などを計画的に移転させ、あわせて科学技術振興、研究・教育の充実、発展の拠点とすることを目的に開発された。研究学園地区と周辺開発地区からなり、研究学園地区は南北18キロメートル、東西6キロメートル、面積2700ヘクタール。周辺開発地区を含めると2万8400ヘクタールあり、将来計画人口は35万人(2013年現在21.8万人)。1963年(昭和38)に閣議決定、1967年基本計画が確定、1980年までに予定した文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、建設省および科学技術庁、環境庁などの研究施設合計43機関がすべて移転を完了。ほかに法人組織などの9機関が建設された。その後、公的機関は4機関増え、46機関となった(2001年1月の中央省庁再編により、前述の公的機関のうち、文部省と科学技術庁は文部科学省、厚生省は厚生労働省、通商産業省は経済産業省、運輸省と建設省は国土交通省、郵政省は総務省、環境庁は環境省に改組された)。
1985年(昭和60)には国際科学技術博覧会(通称科学万博、EXPO'85)が開催され、その跡地にできた筑波西部工業団地のほか、筑波北部工業団地、つくばテクノパーク豊里(とよさと)、同大穂(おおほ)などの工業団地を中心に約160の民間企業の研究・開発部門が進出した。住宅・都市整備公団(現、都市再生機構)による研究学園地区の基盤整備は1998年(平成10)にほぼ完成した。筑波大学などもっとも多くの機関をもつ桜地区の人口増加が著しい。
生産性の低い平地林や畑地が開発され、1兆1000億円を超す建設費が投入され、さらに筑波大学とその附属病院の開業など周辺地域住民への開発効果は大きいが、他面では中心部の都市機能の未熟、つくば市誕生(1987)以前は6町村に分かれていたことなど、行政機能の不統一もあって、学園居住者の生活面での不十分さが指摘されてきた。しかし、つくば市の誕生とその後の編入拡大で一つの行政組織になったこと、複合文化施設つくばセンタービルの建設(1983)や交通ターミナル、大規模ショッピングセンターなどの整備、また、2005年にはつくばエクスプレスが開通したことなどにより、先端技術分野をになう日本最大の研究開発センターとして発展している。
[櫻井明俊]
茨城県南西部,筑波山南麓の常陸台地に立地する日本で初めての研究教育諸施設団地群。行政上は2002年11月全域がつくば市となった。筑波大学,工業技術院,国土地理院,気象研究所,高エネルギー物理学研究所はじめ,40をこえる研究機関・大学がある。首都圏における人口過度集中への対応策として,1963年に建設が閣議決定された。施設の用地面積は1500ha,住居地域面積1200ha,計画人口は10万である。住居,主要道路など環境整備が軌道に乗った反面,周辺地区整備は立ち遅れ,真の都市形成とはいいにくい。85年西部地区に主会場をおく国際科学技術博覧会(つくば万博)が開催されたが,これを機に地域再開発が図られている。2005年,首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)が開通,南部を常磐自動車道が横断し,常磐線荒川沖駅および土浦駅よりバスの便がある。
執筆者:中川 浩一
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…功利主義的見地に立って,人間知識による自然の支配という理念を高く掲げたベーコンにとって,サロモン学院はきたるべきユートピアの強力な頭脳として不可欠の存在だったのである。現在,日本で建設が進められている筑波研究学園都市やソ連のノボシビルスクの科学都市などは,ベーコンが夢想したサロモン学院が現実化したものとみることができるかもしれない。
[国立研究所の設立]
ベーコンの提案にもかかわらず,また17世紀の科学革命以降の科学および産業の発展にもかかわらず,十分な設備とスタッフをもつ研究所は19世紀後半になるまで実現しなかった。…
…茨城県新治郡の筑波研究学園都市にある国立総合大学。1960年代前半からの東京教育大学(1978閉学)の移転問題に発し,推進派と反対派の学内外の長期の抗争・対立を経て,73年学校教育法,国立学校設置法などを改定して設置された。…
…中心集落の谷田部は江戸時代に細川氏1万6000石の陣屋が置かれたところで,明治以降も郡の行政中心地であった。畑作を中心とする純農村であったが,昭和30年代以降筑波研究学園都市の建設が進められ,景観も一変した。この地区は研究学園地区面積の約4割を占め,国立図書館情報大学や高速自動車試験場として著名な日本自動車研究所,建設省国土地理院および農水省,通産省などの試験研究機関が数多く立地している。…
※「筑波研究学園都市」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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