大谷石(読み)オオヤイシ

デジタル大辞泉 「大谷石」の意味・読み・例文・類語

おおや‐いし〔おほや‐〕【大谷石】

宇都宮市大谷町付近から産出する石材。凝灰岩の一種で、淡青緑色。軟らかく加工が容易で、耐火性・吸水性に富む。石垣や倉庫の外壁などに使用。
[類語]堆積岩水成岩石灰岩凝灰岩粘板岩礫岩砂岩泥岩

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精選版 日本国語大辞典 「大谷石」の意味・読み・例文・類語

おおや‐いしおほや‥【大谷石】

  1. 〘 名詞 〙 宇都宮市大谷町から産出する、第三紀の石英粗面岩質凝灰岩。淡青緑色で耐火性に富む。石質が柔らかく、細工が容易。倉庫建築材、石垣などに用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大谷石」の意味・わかりやすい解説

大谷石
おおやいし

栃木県宇都宮市大谷に産する流紋岩質軽石凝灰岩の石材で、日本の代表的な建築用軟石。新第三紀中新世(約2303万~533万年前)の火山噴出物で、いわゆる緑色凝灰岩(グリーンタフ)の一種。もとの造岩鉱物長石カオリン絹雲母(きぬうんも)に、有色鉱物緑簾石(りょくれんせき)、緑泥石蛇紋石チタン石などに変質している。そのため外観は淡い灰緑色ないし淡黄緑色を呈し、中に暗褐色または緑褐色の部分が斑(まだら)状に散在している。この褐色部分は軟らかく、「みそ」とよばれている。大きなみそが多数含まれているものは、石材に不適とされる。より深い地下でとれる青緑色の「青目」、地表近くでとれ、青目より硬く良質で白っぽい「白目」、より細粒の「虎目(とらめ)」などの種類がある。一般に多孔質で、水分を吸収しやすく凍結に弱いが、火熱に強く、1000℃以上でも安定である。ほかの石材に比べて軟らかく、採掘や加工が容易である。露天掘り坑道掘りで切り石として採石され、土木・建築用に広く利用されている。耐火用として倉庫や石蔵に用いられるほか、土台や石塀にも用いられる。アメリカの建築家F・L・ライトは、旧帝国ホテルの建築に用いた。

[斎藤靖二]


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改訂新版 世界大百科事典 「大谷石」の意味・わかりやすい解説

大谷石 (おおやいし)

栃木県宇都宮市大谷町付近に産する流紋岩質凝灰岩の石材名。新生代第三紀の火山活動で噴出した火山灰が,海水中に堆積して形成されたもので,緑色から淡緑色,あるいは淡褐色を呈する文字どおりのグリーンタフである。かつては露天掘りでつるはしによって採石され,地表に近い層の〈白目〉と下層の〈青目〉とに分けられていたが,今日では石切場は地下に移り,地下数十mに達する大洞窟を作りながらチェーンソーによって大規模に切り出されている。それに伴い在来の上層を一括して〈荒目〉と呼び,地下深くで採石される粒子の細かい〈細目(さいめ)〉と大別するようになった。

 外観は粗く多孔質で,〈荒目〉には,俗に〈ミソ〉と呼ばれる褐色の斑点,あるいはそれが脱落した空隙がある。吸水性は高いが風化に強く,また耐火性に富む。採石,加工も容易であり価格も安いので,古くからかまどや土蔵の材料に使用された。また石垣,門塀,擁壁その他土木建築用として全国に広い販路をもっている。F.L.ライトの設計した旧帝国ホテル本館は,この石材を用いた代表的建築で,これが関東大震災にも健在であったことが,大谷石の声価を高めた。
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百科事典マイペディア 「大谷石」の意味・わかりやすい解説

大谷石【おおやいし】

宇都宮市大谷町(もと荒針村)一帯で産出する石材。石垣,門塀,擁壁などに利用。グリーンタフに属する流紋岩質軽石凝灰岩で,多孔質で柔らかく,つるはしでも切り出せ,露天掘,坑内掘で採石する。地表近くは風化し褐色であるが,上部20mぐらいの厚さはシリカSiO2が二次的にたまって色が白く〈白目〉と呼ばれ,石材として第一級品。下部は淡青色で〈青目〉と呼ばれ質がやや落ちる。大谷石で葺かれた石屋根建築は柳宗悦らの民芸運動で高い評価をうけた。大谷石の採掘は奈良時代から行われていたと伝え,大谷石を使用した古墳もみられる。現在,坑内掘跡の一部が大谷石の資料館として公開され,その他酒やハムの貯蔵などの様々な再利用が検討されており,一方陥没の危険性も問題になっている。
→関連項目宇都宮[市]大谷磨崖仏凝灰岩石材

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大谷石」の意味・わかりやすい解説

大谷石
おおやいし

栃木県宇都宮市大谷町から産出する凝灰岩の石材。青緑色,多孔質で俗に「ミソ」と呼ばれる空隙がある。割れ目が少く,軟らかくて軽く加工しやすいので,古来多量に切出され,価格も安い。耐火性もかなりある。日本の凝灰岩では最も需要が多く,石材として年数百万切に達するといわれ,東京をはじめ関東から名古屋地方まで搬出されている。用途は石垣,石段,石壁,倉庫など。東京の旧帝国ホテルは F.ライトによって大谷石で造られていた。

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デジタル大辞泉プラス 「大谷石」の解説

大谷石

石材の名。栃木県宇都宮市大谷町周辺で産出される灰緑色系の凝灰岩。大正時代、フランク・ロイド・ライト設計の旧帝国ホテルに使用された。

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世界大百科事典(旧版)内の大谷石の言及

【グリーンタフ】より

…グリーンタフには,安山岩・石英安山岩・流紋岩の溶岩,凝灰角レキ岩,軽石凝灰岩などが多く,このうち石英安山岩・流紋岩質の軽石凝灰岩が緑色を呈することが多い。栃木県下で石材として採掘されている大谷石はその例である。緑色となるのは,変質によってできた鉱物のなかに,緑泥石,モンモリロナイト,セラドナイトなどに属する緑色の粘土鉱物があるためである。…

※「大谷石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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