精選版 日本国語大辞典 「帳付」の意味・読み・例文・類語
ちょう‐つけチャウ‥【帳付】
- 〘 名詞 〙 ( 「ちょうづけ」とも )
- ① 帳簿に記入すること。帳面に出納などを書きつけること。記帳。また、その係の人。
- [初出の実例]「しきせ計て中とし五年 後は又引上られて帳付に」(出典:俳諧・西鶴大矢数(1681)第三三)
- ② 諸官署の帳簿係。公の帳簿に記入する役目。また、その人。
- [初出の実例]「国官 〈略〉帳付 注簿」(出典:建官考(1762))
- ③ 江戸時代、検地奉行の支配に属した検地役人の一つ。一組四人からなり、二人は田畑にでて野帳(やちょう)をつけ、残り二人は宿舎で清帳(せいちょう)の記入および諸費用の調査にあたった。
- [初出の実例]「帳付四人」(出典:地方竹馬集(1689)上)
- ④ 江戸時代、宿駅の問屋・年寄の下に雇用契約で働き、毎日の人馬の出入などを記帳したり、公私旅行者の依頼に応じて宿泊その他の世話など事実上宿駅における一切の事務を処理したりした問屋場の下役。宿場によっては、荷受方(荷物の秤量・運賃の決定)・勘定方(金銭の出納・収支の記帳)・日〆方(人馬数・運賃の日〆帳記入)に分けたり、同一人で処理したりした。
- [初出の実例]「然は不断帳付計に、左様之指引仕せ候故、右之通不念も有之と相聞へ、不届之仕形候」(出典:御当家令条‐二〇・東海道宿々掟・貞享三年(1686)一二月二八日)
- ⑤ 江戸時代、勘当・久離を申し渡したとき、または欠落者があるときに、親、親類などがその旨を町村役人に届け出て、公簿に記載してもらうこと。これにより勘当・久離の法律上の効果が生じ、また領主・代官などの許可を得て、人別帳より除外することもできた。
- [初出の実例]「久離勘当帳付之儀は」(出典:御触書寛保集成‐四四・享保九年(1724)一二月)
- ⑥ 江戸時代、他領他国で敵討をしようとするものが、主君から敵討を許可した旨を幕府の三奉行に届け出てもらい、備えつけの帳簿(敵討帳および言上帳)にその旨を記載してもらうこと。記載がすめば町奉行所からその写しの交付をうけ、これを所持して敵討を行なった。
- [初出の実例]「目上之者之敵討は三奉行へ届致し、御帳付之儀相届候は、聞届可有之」(出典:諸御附札留(江戸中‐後か)二)
- ⑦ 江戸時代、庶民が遺言状を奉行所または町村役人宅などに持参し、備えつけの帳簿(遺跡帳などと呼ばれる)に記載してもらうこと。江戸では、生前の遺言状は町年寄役所で、死後の遺言状は奉行所で記載された。
- [初出の実例]「遺跡帳付之儀も、向後月番町年寄衆斗にて相済」(出典:正宝事録‐二七九六・延享三年(1746)一一月七日)
- ⑧ 買った品物を帳面につけておいてもらい、支払を月末、節季(せっき)などにすること。