平準法(読み)ヘイジュンホウ(英語表記)píng zhǔn fǎ

デジタル大辞泉 「平準法」の意味・読み・例文・類語

へいじゅん‐ほう〔‐ハフ〕【平準法】

中国武帝が前110年に施行した物価調整政策。豊年政府物資を購入して貯え凶年の時に放出して物価の安定を図ろうとしたもの。商業に対する国家統制として反対多く昭帝の時に廃止された。

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精選版 日本国語大辞典 「平準法」の意味・読み・例文・類語

へいじゅん‐ほう‥ハフ【平準法】

  1. 〘 名詞 〙 中国、前漢武帝の紀元前一一〇年に施行された財政政策一つ。政府が全国の物資を事前に購入して貯蔵、物価が騰貴すると売却、下落すると購入して、物価の安定を調整したもの。次の昭帝のときに廃止された。平準

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改訂新版 世界大百科事典 「平準法」の意味・わかりやすい解説

平準法 (へいじゅんほう)
píng zhǔn fǎ

中国,古代の財政策。前漢の前110年(武帝の元封1),桑弘羊の指導下に大司農に平準令の官を設け,数年来施行していた均輸法により官に収納された貨物を全国的に統一管理し,価格の変動を見て騰貴時に売り低落時に買い入れ,価格差を利潤として国庫に吸い上げた。前代の《管子》の軽重法や李悝(りかい)の平糴(へいてき)法につらなり,後の王莽(おうもう)の五均六筦や歴代の常平法に受け継がれた。本来大商人中間搾取から農民を守り,物価を安定させ,併せて国庫収入を増そうとした施策であったが,担当官吏の営利手段化するのを免れなかった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「平準法」の意味・わかりやすい解説

平準法
へいじゅんほう

中国、前漢の武帝時代に均輸法とともに実施された経済財政政策。その立案者は桑弘羊(そうこうよう)で、紀元前110年から実施された。平準とは物価を平均することを意味し、国家財政を担当する大司農(だいしのう)に平準令(へいじゅんれい)という官を置き、首都に平準令管理の倉庫があり、全土から均輸法によって集められた財貨を貯蔵した。そして物価が高騰するとこれを売り出し、物価が低落すれば買い入れ、これによって物価の安定を実現し、大商人の暴利を抑え、同時にこの官営商業で国庫の収入も増加させることが目的であった。平準法は塩鉄専売および均輸法とともに、武帝の財政政策の代表的なものの一つで、『史記』の財政事情の記録は「平準書」と名づけられた。

[影山 剛]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「平準法」の解説

平準法(へいじゅんほう)

前漢の武帝のとき(前110年)に定めた物価安定法。政府が余剰物資を購入し,騰貴をまって販売する法で財政難打開策である。均輸法とともに商業の国家的統制であるため反対が多く,いずれも昭帝のとき廃止された。

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旺文社世界史事典 三訂版 「平準法」の解説

平準法
へいじゅんほう

前漢の武帝が行った商業統制政策
財政難打開のため,桑弘羊の建議により,均輸法と並んで行われた。平準官を置き,政府は物価の下がったとき買い入れ,高騰したとき売り出して,全国市場の需給・価格を統制し,政府収入の増大と大商人の利益抑制をはかった。前110年から実施。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平準法」の意味・わかりやすい解説

平準法
へいじゅんほう

「均輸・平準法」のページをご覧ください。

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