均輸法(読み)キンユホウ

デジタル大辞泉 「均輸法」の意味・読み・例文・類語

きんゆ‐ほう〔‐ハフ〕【均輸法】

中国、武帝が始めた経済政策の一。各地方の特産物を税として納めさせ、政府が不足地に転売する物価調整法。→平準法
代、王安石新法の一。政府が必要物資を直接調達・輸送し、商人中間搾取を排除するもの。

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精選版 日本国語大辞典 「均輸法」の意味・読み・例文・類語

きんゆ‐ほう‥ハフ【均輸法】

  1. 〘 名詞 〙 中国、漢の武帝がはじめた経済政策。各地方の負担する貢物と輸送費を平均化しようとするもので、商人の利益を制限し、中央集権による経済統制目的とした。

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改訂新版 世界大百科事典 「均輸法」の意味・わかりやすい解説

均輸法 (きんゆほう)
Jūn shū fǎ

中国,漢代と宋代に行われた経済政策。いずれも,各地の生産物の円滑な流通,大商人による投機的利益独占排除を目的としている。漢代のそれは武帝の前115年(元鼎2),桑弘羊らの手で郡国に均輸官が置かれ,各地の産物を官が運搬販売した。宋のそれは1069年(熙寧2)王安石の新法の一つとして実施された。揚州発運司という役所が中心となり,江南から国都開封に送る商品を調節し,全国の商品流通の合理化を目ざしたが,必ずしも成功しなかった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「均輸法」の意味・わかりやすい解説

均輸法
きんゆほう

中国、前漢の武帝時代の経済財政政策。財貨の円滑な流通を目的とし、桑弘羊(そうこうよう)の立案と指導により、紀元前115年から部分的に施行され、前110年から全面実施となった。地方の郡県に均輸官を置き、中央には大司農(だいしのう)に均輸令を長官とする均輸があった。商品価値のある地方の特産物を賦税にかえて納入させ、国家はこれを他の地方に転売して物価の調整を実現し、その利益は国庫の収入となる制度という理解が古典的解釈である。しかしこの解釈には疑問もあって、均輸法の機能を尽くしているとはいえない。均輸には賦税の運輸の負担を均平にする意味があったと考えられ、また均輸法の実際の運営では布帛(ふはく)の強制的賦課とその均輸官への大量の集積があった事実が認められ、制度の機能と運営の実体については不明の点が多い。

[影山 剛]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「均輸法」の意味・わかりやすい解説

均輸法
きんゆほう
Jun-shu-fa; Chün-shu-fa

中国,北宋の煕寧2 (1069) 年王安石が最初に実施した新法。南東地方から運ばれていた物資が,長年の間に種類,数量ともに固定し,政府の需要と合致しなくなり,商人は,政府の必需品を高い代価で納入し,不要品は安く払下げを受けて不当な利を得,政府の収支は不均衡となった。この解決策が均輸法で,政府が必要とする物資の種類と量を揚州にある発運使に通知し,必需品は都に近いところで調達させ,その物資を産しないところからは,その地の産物を代納させ,需要地に運んで売却し,政府が利益をあげることにしたもの。

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旺文社世界史事典 三訂版 「均輸法」の解説

均輸法
きんゆほう

①前漢武帝の経済政策
②北宋の王安石の新法の1つ
『史記』によると,均輸法の実施者は桑弘羊 (そうこうよう) で,平準法と並んで2回にわたって発布され,武帝の外征費用の調達にあてられた。各郡国に均輸官を置き,特産品を転売して物資の流通,物価の安定をはかったもの。この結果,均輸法によって納入された帛 (きぬ) は500万匹で戦士の俸禄にあてた。
中央政府の必要物資を産地で調達し,それを不足の地方に輸送・転売して物価の安定をはかったが,商人と結託した官僚の反対を受けた。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「均輸法」の解説

均輸法(きんゆほう)

前漢の武帝のとき(前115年)に定めた物価調整法。均輸官を郡国に置き,各地の特産物を輸送させ,不足地に転売して,物資の調達,物価の地域的平均,滞貨の流通を図るとともに財政難の打開を目的とした。北宋の王安石が新法の第一に施行した(1069年)均輸法もこれにならったもので,いずれも商人の利益を奪うものとして反対された。

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