平等権(読み)ビョウドウケン

デジタル大辞泉 「平等権」の意味・読み・例文・類語

びょうどう‐けん〔ビヤウドウ‐〕【平等権】

すべての国民が法の下に平等に取り扱われ、人種・信条・性別・社会的身分などによって差別されない権利。→法の下の平等日本国憲法第14条

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精選版 日本国語大辞典 「平等権」の意味・読み・例文・類語

びょうどう‐けんビャウドウ‥【平等権】

  1. 〘 名詞 〙 すべての国民が法の下で平等に取り扱われるという権利。基本的人権の一つ。

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改訂新版 世界大百科事典 「平等権」の意味・わかりやすい解説

平等権 (びょうどうけん)

平等権は,国家の基本権の一つとしてあげられるが,その意味は次の三つに整理される。第1は〈法の前の平等〉であって,国の大小,強弱その他にかかわりなく,国際法が平等に適用されることを意味する。第2は〈法における平等〉であって,国家が国際法上同一の権利・義務をもつことを意味する。この意味での平等権は,啓蒙期自然法思想に淵源を持ち,人間が自然状態において平等に取り扱われるべきであるなら,国家も自然状態である国際社会において平等を認められなければならないというように主張される。第3は〈国際法定立についての平等〉であって,やはり啓蒙期自然法思想に淵源を持ち,国家が自国を拘束する国際法の定立に平等に参加すること,具体的には国際機構国際会議決議に平等に参加することを意味する。そして,国際機構の発展とともに,第3の意味での平等権に新しい問題が生じている。すなわち,従来,国際機構や国際会議で関係国全部が代表を送り,しかも,全会一致制がとられたのは,平等権が作用したためである。しかるに,たとえば国際連合安全保障理事会をみると,アメリカロシアイギリスフランス中国常任理事国とする制度があるばかりでなく,これら常任理事国に拒否権が与えられている(国連憲章23条1項,27条3項)。これは代表または参加の平等を破るとともに,投票の平等をも破ると把握されるが,国際政治における大国の優越性が国際機構の構造に反映したわけである。

 基本的人権の一種としての平等権については〈法の下の平等〉の項参照。
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百科事典マイペディア 「平等権」の意味・わかりやすい解説

平等権【びょうどうけん】

(1)国民が法の適用,立法上,人種,信条,性別,家柄,社会的身分等により,すべての面において差別されないこと。近代憲法の大原則であり(憲法14条),人間生来の平等を説く自然法思想等を背景として,市民階級の封建的な身分的差別撤廃の要求を通して確立。→法の下の平等(2)国際法上,国家が平等の権利・義務をもち差別されないこと。国際会議等に小国が大国と平等に参加し,投票することを求める政治的主張として問題となるが,法律上の権利とまではいえないとされている。
→関連項目奥平康弘

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平等権」の意味・わかりやすい解説

平等権[国際法]
びょうどうけん[こくさいほう]
right of equality

国家が国際法上,平等に権利義務を有する地位,資格。国力の強弱,人口の多少など事実上の不平等にもかかわらず,国家はその相互関係においては,国際法上平等に扱われる。国際法の適用が各国家に平等であるという形式的平等と,自己を拘束する国際法の定立には平等に参加するという権利とをいう。平等権は特に国際組織,国際会議,外交関係において問題となり,近年における国際組織の発展に伴い,その機能を実効的にするために,その組織内部では平等権の修正が一般的となっている。たとえば国際連合の安全保障理事会では,五大国に常任理事国としての地位および拒否権を認めて,他の加盟国の代表権,表決権に差を設けており,国際通貨基金,国際復興開発銀行などの国際組織では,出資額に応じて表決権に差を認めている。

平等権
びょうどうけん

権利,自由の享有や義務の負担について,国政上差別されないという権利。したがって,日本国憲法が保障する法のもとの平等の原則 (14条1項) を,個人の権利として認識した場合のものである。この平等権は,従来一般に,公権力による不平等な取扱いを排除する自由権であるところにその本質があると解されてきているが,結果における平等をきびしく要求する見解に徹した場合には,平等権は社会に事実上存在する不平等の是正を公権力に対して要求する受益権の性格も併有することになり,現在では一般にこのように二元的に理解されている。

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世界大百科事典(旧版)内の平等権の言及

【法の下の平等】より

…法の前の平等ともいう。これを権利として表現したのが平等権である。平等思想はすでに古代ギリシアにみられ,アリストテレスは正義の理念と結びつけて平等の本質を説いている。…

※「平等権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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