体操競技における男子器械種目の一つ(平行棒運動)。また、その器械名。長さ350センチメートル、短径4.0センチメートル、長径5.0センチメートルの楕円(だえん)形で、中にグラスファイバー芯(しん)が入った木製棒(バー)が2本平行に固定され、2本のバーの間隔は42センチメートルから52センチメートルの間で調節できる。棒端からそれぞれ60センチメートルの部位を支柱で床面から200センチメートルの同一の高さに固定する。使用するマットの厚さは20センチメートルである。
平行棒を意味するBarrenは、中央高地ドイツ語のBarreからきたもので「棚」の意味をもつ。1811年、ドイツのF・L・ヤーンによって創案され、あん馬の予備運動として行われていたものが体操競技の種目として発展した。
演技は、主として縦向き体勢で、弾力のある2本の両棒を握って行い、支持振動(体を振る)系、腕支持振動系、懸垂系の運動を中心に、静止技などを組み合わせて行う。演技構成上、棒上、棒下での多彩な運動が求められ、横向き体勢での技も組み入れられる。かつて、力技が要求された時代もあったが、現行ルール(2019年時点)では、その要求はなくなっている。1896年の第1回オリンピック・アテネ大会よりオリンピック種目(種目別)となった。
[三輪康廣・後藤洋一 2020年2月17日]
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…このように,体操を近代科学(生理学,解剖学など)に基づいて理論化し,方法化しようという傾向はデンマーク体操にも受け継がれ,その後の北欧体操の発展の方向を決定づけることになった。一方,ヤーンのトゥルネンは政治的な非合法活動であるとして,ときのプロイセン政府から弾圧(1820年,トゥルネン禁止令)され,政治色を抜きにした純粋な運動技術の習熟をめざすことになり,水平木棒(今日の鉄棒),平行棒,あん馬をはじめとする器械運動に活路を求めた。また,学校教育のなかに体操を導入しようとしたシュピースA.Spiess(1810‐58)は身体運動を〈関節の可動性の原理〉に従って部分運動に分類し,やさしい運動からむずかしい運動を段階的に習得する徒手体操を体系化した。…
※「平行棒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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