( 1 )単に年上という意味の「としまし」「としまさり」に基づく。これらが、遊廓で盛りを過ぎた遊女に対して用いられるようになって、「としま」として定着した。遊廓では、狭義には二四、五歳あたりからを指すと思われる。
( 2 )「年増(トシマ)のボイが這入って来て」〔百鬼園随筆‐一等車〕のように男子に用いている例もある。
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
歌舞伎(かぶき)舞踊。常磐津(ときわず)。3世桜田治助(じすけ)作詞。5世岸沢式佐(しきさ)作曲。2世藤間勘十郎振付け。1839年(天保10)3月江戸・中村座で、4世中村歌右衛門(うたえもん)初演の江戸八景を題材にした八変化(へんげ)舞踊『花翫暦色所八景(はなごよみいろのしょわけ)』のうち、「隅田堤に旁妻の晩鐘(かくしづまのばんしょう)」の場面が独立したもの。晩春の向島(むこうじま)の土手を背景に、芸者出身の妾(めかけ)とみられるあだな年増の姿を描いた作。駕籠(かご)から現れた年増が、自分の男を別の女と争ったいきさつを物語るところが見せ場で、常磐津舞踊独特の仕方話の振(ふり)に、踊り手の技量が示される。現代では6世歌右衛門、7世中村芝翫(しかん)、4世中村雀右衛門(じゃくえもん)らが得意としている。
[松井俊諭]
娘盛りを少し過ぎた女性をいう。江戸時代以来使われることばであるが、固定した年齢的区分があるわけではなく、時の社会情勢や時代によって違いがある。結婚年齢が若く、早熟な社会生活を送った江戸時代では、17、8歳から22、3歳までの新造に対し、24、5歳から30歳前後の女性を年増とよび、それより上を大年増といった。現在では、一般的に30歳前後から40歳ころまでの女性をいう。
[棚橋正博]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
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