年寄りの冷や水(読み)としよりのひやみず

ことわざを知る辞典「年寄りの冷や水」の解説

年寄りの冷や水

老人が若者のように元気にふるまったり、年齢にふさわしくない無理をすることのたとえ。そんなことをすると後がたいへんと心配したり、冷やかしたりするときにいう。

[使用例] マ、楽にしておくんなさい。八十一にもなって、木取りだ、仕事の指図だなんて年寄りの冷や水さ。カゼをひいちゃってね、せがれのやつが心配してひるから寝床におしこまれて退屈してたとこなんです[斎藤隆介*職人衆昔ばなし|1967]

[使用例] せっせと体力づくりにはげみ、というときこえはいいが、オナカの出ないように年よりのひや水ともいうべき鍛練にいそしんでいるのは、いやらしい心がけと申さねばならぬ[田辺聖子*女の長風呂|1973]

[解説] 「冷や水」を冷たい水を浴びることと解するのは誤解です。冷たい飲用水をさし、比喩的には年寄りにふさわしくない行為を象徴しています。
 江戸は神田上水玉川上水が整備され、市中では水道の水を飲むことが多かったようですが、夏は水がなまぬるいので、江戸後期には甘味料などを加えた冷や水売りが盛んになりました。当時のいろはかるたの絵札には、この冷や水売りや冷や水を飲む老人の姿が描かれています。若者は流行の冷や水を好んで求めましたが、老人には湯冷ましがよいとされ、冷や水を飲むのは年齢にふさわしくないとひんしゅくをかったものでしょう。ことわざの用法としては、老人を気づかったり冷やかしたりするほか、みずから年齢相応の行為ではないことを認めて、自嘲ぎみに使う場合もあります。
 なお、このことわざの初出は江戸中期の「尾張俗諺」で、「けい通諺」(「京師」は都の)とされていますから、元来は京都で使われていた表現のようです。

出典 ことわざを知る辞典ことわざを知る辞典について 情報

デジタル大辞泉「年寄りの冷や水」の解説

年寄としよりのみず

老人が冷水を浴びるような、高齢に不相応な危ない行為や差し出がましい振る舞いをするのを、警告したり冷やかしたりしていう言葉。
[類語]不穏当不謹慎不心得心無い非常識不見識無分別言語道断由由しい目に余る成ってない若気の至り年甲斐も無い

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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