精選版 日本国語大辞典 「代」の意味・読み・例文・類語
だい【代】
[1] 〘名〙
※平戸記‐嘉祿三年(1227)一二月一〇日「右大弁云、寛元寛字、寛徳・長寛不快。強不レ可レ被レ用。其上元字多代末歟」
※小右記‐寛仁三年(1019)一一月一六日「大歌所別当中宮大夫藤原朝臣〈斉信〉不参。以二皇太后宮権大夫源朝臣〈経房〉一可レ為レ代之由経通令二奏聞一」
※歌舞伎・東京日新聞(1873)大切「半次郎儀、昨今病気重態ゆゑ、則ち私代(ダイ)を兼ね、罷り出ましてござりまする」
※貞信公記‐天暦二年(948)八月七日「絹四百卅余疋の内、二百疋の代、以レ銭被レ給者」
⑤ =たい(代)
※俳諧・崑山集(1651)六「二こく代(ダイ)の畑(はた)かから瓜大和瓜〈貞徳〉」
⑦ 「だいひょうばんごう(代表番号)」の略。
[2] 〘接尾〙
① 家督や王位を継いだ順序を数えるのに用いる。
※源氏(1001‐14頃)花宴「明王の御代、四代をなん見侍ぬれど」
② 年代や年齢のおおよその範囲(主として一〇年単位)を示すのに用いる。一九七〇年代、十代、三十代など。
※無口の妻とうたう歌(1974)〈古山高麗雄〉「子供なのよね、堀にしても、田中にしても。みんな、まだ、二十代ですから」
しろ【代】
〘名〙
① かわりとなるもの。代用。
※万葉(8C後)八・一六四二「たな霧(ぎ)らひ雪も降らぬか梅の花咲かぬが代(しろ)に擬(そ)へてだに見む」
② かわりとして支払う、または、受けとる金銭や物品。代金。あたい。代価。代物(だいもつ)。値段。また、抵当。かた。
※今昔(1120頃か)一六「食の
ならば、我が家に死たる魚多かり。其を此の蟹の代に与へむ」

③ その用となる、もとの物。もと。材料。
※俳諧・飛梅千句(1679)賦何公誹諧「夫おもひ渕に住んだる魚のわけ〈西伊〉 されば譬て煩悩のしろ〈満平〉」
※邪宗門(1909)〈北原白秋〉魔睡・邪宗門秘曲「あるは聞く、化粧(けはひ)の料(シロ)は毒草の花よりしぼり」
※栄花(1028‐92頃)根合「早乙女の山田のしろに下り立ちて急げや早苗室のはや早稲」
⑤ 田植えの前に田に水を引き、鍬、牛馬、耕耘(こううん)機などで土塊を砕きながらどろどろにすること。しろかき。
⑥ 古代、令制前における田地の面積の単位。一代は段の五〇分の一で、大化の改新の詔(六四五)・大宝令(たいほうりょう)制(七〇一)・和銅六年(七一三)の制などの七歩二分、大化・大宝の中間の制での五歩にあたる。令制下では、町・段・歩制が用いられたが、「代」の単位も残存し、中世末期まで田地目録などに見える。また、高知県など一部地域では今日も用いられている。ただし、中世では、「代」に「たい」の読みをあてていたものと思われる。日本書紀の古訓では「頃」の字に「しろ」をあてたものがある。
※令集解(706)田「古記曰。慶雲三年九月十日格云。〈略〉令前租法。熟田百代。租稲三束」
[補注]①②③は、現代では語素的に用いる。
がわり がはり【代】
〘接尾〙 (名詞「かわり(代)」の変化したもの)
① 名詞に付いて、その代わりとなるもの、代用となるものの意を表わす。
※家(1910‐11)〈島崎藤村〉上「土産がはりに橋本の薬を取出した」
② 時間を表わす語に付いて、その期間で交替する意を表わす。
※落語・雪解の富士(1893)〈三代目春風亭柳枝〉「半月代りにでも為(し)やうかねへ」
だい【代】
[一] 中国古代の地名・国名。現在の河北・山西両省の辺境地帯。紀元前五世紀頃、非漢民族の代戎がその地に建国して、代国と呼ばれた。漢以後は郡県として中国に編入。
[二] 中国の五胡十六国時代に、鮮卑の首長拓跋猗盧(たくばついろ)が晉に封ぜられて建てた国(三一五‐三七六)。その後裔が北魏。
たい【代】
〘名〙 田積の単位。五十代を一段とする。令制の町段歩よりも古く、奈良時代から中世に全国的に用いられ、部分的には近世に及んだ。だい。しろ。
※岩松家文書‐享徳四年(1455)閏四月・新田荘田畠在家注進状「畠百町六反三十たい」
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