原稿料(読み)げんこうりょう

日本大百科全書(ニッポニカ)「原稿料」の解説

原稿料
げんこうりょう

書籍、雑誌、新聞、放送などに掲載もしくは使用された原稿に対して支払われる著作権使用料としての報酬。一定額を1回限りで全額支払う点で印税と異なる。通常400字詰め原稿用紙1枚を単位として価格を定めるが、コラム、詩など著作物の全編を単位とすることもある。欧米では語数計算される場合が多い。支払いは、原稿受渡し時から発行後1~2か月以内が普通。価格の基準は、発行元の事情、発表媒体の性格、著作者の地位・有名度などにより異なり、一定しない。日本で最初に原稿料らしきものをもらったのは、江戸時代の洒落本(しゃれぼん)作家山東京伝(さんとうきょうでん)であるといわれる。現今の原稿料方式が定着したのは、著作権の職業的自覚と、新聞社、出版社の近代的経営が成立した大正時代に入ってからである。所得税法によって、原稿料から源泉所得税が徴収されることになっており、企業が、著作者に支払う額から差し引いて税務署に納める。

 著作以外に、翻訳料、作曲料、談話掲載料なども原稿料の亜種である。

[鈴木 均・田村紀雄]

『松浦総三編著『原稿料の研究――作家・ジャーナリストの経済学』(1978・日本ジャーナリスト専門学院出版部)』

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精選版 日本国語大辞典「原稿料」の解説

げんこう‐りょう ゲンカウレウ【原稿料】

〘名〙 原稿を執筆したことに対する報酬。
※当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一七「凡そ八九十枚なぐりつけたが、其原稿料(ゲンカウレウ)(おほい)にたまって総計二十円程になりにけりさ」

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世界大百科事典 第2版「原稿料」の解説

げんこうりょう【原稿料】

作家,ジャーナリスト,学者らの知的労働生産物である著作物に対して,使用者である出版者が支払う報酬。著作権使用一種。著作は通常,原稿用紙に執筆されるので,原稿料と呼ばれ,多くの場合,400字詰原稿用紙1枚当りの報酬を単価とする。原稿料は新聞雑誌などの著作物1回の使用料で,書籍の場合は大多数が印税方式をとる。欧米では,印税は日本とほぼ同じであるが,原稿料の単位は語数による。日本で原稿料制度が普及したのは,出版が企業化された1910年代以降である。

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