式台(読み)シキダイ

デジタル大辞泉 「式台」の意味・読み・例文・類語

しき‐だい【式台/敷台】

玄関先に設けた板敷きの部分
武家屋敷で、表座敷に接続し、家来の控える部屋
(敷台)近世和船で、船尾船梁ふなばりの上面、舷外突出部に渡す台。反台そりだいの受け座。

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精選版 日本国語大辞典 「式台」の意味・読み・例文・類語

しき‐だい【式台・敷台】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ものの下に置き据える台。
    1. [初出の実例]「公卿の車にふむ、しぢ、如何。答、しぢは、概也、榻也。しきづしの反。敷厨子也。しきだいの反・敷台(シキダイ)也」(出典:名語記(1275)六)
  3. 近世初期、武家家屋において、玄関などを上がったすぐの部屋。板敷の場合が多い。
    1. [初出の実例]「下馬に馬をとどめて敷台に押あかり案内をこひ給ふところに」(出典:義残後覚(1596)一)
    2. 「しきだいの段箱に身を投げ伏して嘆きしが」(出典:浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)道中双六)
  4. 玄関の前にある低い板敷の部分。江戸中期頃からできる。
    1. [初出の実例]「敷台にさし懸ったる一時雨〈文好〉 十面作る雲のいきをひ〈楽之〉」(出典:俳諧・西鶴大矢数(1681)第九五)
  5. 垣立を設ける近世の大型和船の台の艫側の部分。その上に反台(そりだい)を設けて垣立を立てるのでこの名がある。〔和漢船用集(1766)〕
    1. [初出の実例]「砂浜の上に無数の柱材を組み建て其の中で造船に着手し、半分以上工事が進んだ頃から、砂を深く掘り下げ敷台(シキダイ)の柱を少しづつ沈下して船体掘割水面に浮かせた」(出典:江戸から東京へ(1921)〈矢田挿雲〉七)

式台の語誌

室町時代から江戸時代にかけては、のような取次ぎの儀礼を行なうための板敷きの部屋をいう。武家屋敷で駕籠をおろすための突き出た板床を「玄関」、取次ぎの部屋を「敷台」と呼び分けていたが、江戸時代になって全体を「玄関」と呼ぶようになり、「敷台」はのように客の送迎に際して礼をする一段低い板敷を指すようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「式台」の意味・わかりやすい解説

式台
しきだい

室町時代から江戸時代の初めにかけて、主殿あるいは大広間と、遠侍(とおざむらい)あるいは玄関との間にあって取次ぎの儀礼が行われる場所を式台とよんでいる。その建物の中には、取次役の控えている部屋もつくられる。二条城の二の丸御殿に式台の遺構がみられる。江戸時代には、客の送迎に際して礼をするために玄関先に設けた板敷きを式台とよんでいることが多い。この形式は、明治以降の和風住宅における玄関に受け継がれている。

平井 聖]

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百科事典マイペディア 「式台」の意味・わかりやすい解説

式台【しきだい】

色代(しきたい)(あいさつすること)から変化したもので,中世では日常の住宅の出入口をさした。桃山時代に玄関が普及すると,その内部を意味し,やがて江戸中ごろから上がり框(がまち)の部分のみを称するようになる。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「式台」の解説

しきだい【式台】

玄関の上がり口に設けた、一段低い板敷きの部分。元来は客を送り迎えする場所であったが、上がり口に昇る際の踏み台とするほか、靴を履くときの腰掛けとしても用いる。◇武家屋敷の玄関に続く家来の控え場所「敷台」に由来。

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リフォーム用語集 「式台」の解説

式台

玄関の土間とホールの段差が大きい場合にその中間の高さに設けられる横板。

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世界大百科事典(旧版)内の式台の言及

【玄関】より

…中国においては《老子》に〈玄之又玄衆妙之門〉とあるように幽玄の道の入口という意であったが,転じて禅学に入門するという意味に使われた。日本においても字義どおり使われたこともあるが,転じて禅宗寺院の方丈の入口を指すようになり,ついで,武家住宅の式台(戸口の前につけた低い板敷きの縁)付きの入口,さらには一般住宅の主要な入口を指すようになり,今日では一般住宅の入口の意味が定着している。 日本の禅宗寺院では,鎌倉時代末期に書かれた建長寺の伽藍指図中に,伽藍の中軸線にそって方丈西隣の得月楼にいたる廊の中扉に玄関の書込みがあり,方丈への入口を意味していたことがわかる。…

※「式台」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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