後藤徳乗(読み)ごとうとくじょう

精選版 日本国語大辞典 「後藤徳乗」の意味・読み・例文・類語

ごとう‐とくじょう【後藤徳乗】

  1. ごとうしろべえ(後藤四郎兵衛)[ 三 ]

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改訂新版 世界大百科事典 「後藤徳乗」の意味・わかりやすい解説

後藤徳乗 (ごとうとくじょう)
生没年:1550-1631(天文19-寛永8)

桃山,江戸時代の彫金工。後藤祐乗を祖とする後藤宗家の5代目で,通称を源次郎光基といい,父光乗の嫡男として京都に生まれた。後藤家は代々装剣金具の製作家業とし,足利将軍家に仕えたが,足利家滅亡後,徳乗は織田信長豊臣秀吉に仕えた。特筆すべきは,家業のほかに大判金と金銀を測る天秤分銅を製作したことで,同家の記録では1581年(天正9)信長から父とともに分銅大判役を命ぜられたと伝えている。信長没後も秀吉から引き続きこの役を与えられ,1591年4月には山城国の愛宕郡市原村,久世郡中村,葛野郡西院村に私領250石を永代不易に与えられる厚遇を得,やがて畿内各地に成立していた金屋,金吹きの業を独占掌握するようになった。天正16年(1588)の墨書がある丸枠桐極印のある大判は,徳乗が製作したものである。徳乗の得た分銅大判製作の特権は江戸時代にも引き継がれ,代々世襲された。さらに徳乗の弟子山崎庄三郎(後藤庄三郎)は金座における小判の製造,鑑査の独占請負を徳川家康から与えられ,後藤家は江戸期を通じて社会的,経済的繁栄をみた。
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朝日日本歴史人物事典 「後藤徳乗」の解説

後藤徳乗

没年:寛永8(1631)
生年天文19(1550)
桃山・江戸前期の彫金工。江戸幕府の大判座頭人。後藤家4代目光乗の嫡男。京都生まれ。幼名を源次郎,父の死後嫡流通称の四郎兵衛の名を継いだ。幼少時に祖父乗真(後藤家3代目)が戦死したため,光乗一家は九州に移ったが,元亀2(1571)年に帰京し,家業の彫金業を再興した。豊臣秀吉に仕え,天正10(1582)年に判金改めと分銅役の要職をまかされ,250石を支給された。一方家業の方でも,美濃彫りや白銀工などを管理しながら,その典雅な作風で,当時京都に新興していた刀工の埋忠明寿家と並ぶ後藤細工所の基礎を築きあげた功績は大きい。江戸幕府になってからは一時不遇だったが,弟長乗(分家して勘兵衛家を創始)の労により長男栄乗と共に徳川家康,秀忠に大判座頭人として仕えた。長男栄乗は6代目を,3男顕乗は7代目を継承し,4男琢乗と5男休乗はそれぞれ別家を創始した。

(加島勝)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「後藤徳乗」の解説

後藤徳乗 ごとう-とくじょう

1550-1631 織豊-江戸時代前期の装剣金工。
天文(てんぶん)19年生まれ。後藤光乗の長男。後藤宗家5代。織田信長,豊臣秀吉につかえ,判金改(あらため),分銅役をつとめる。天正(てんしょう)大判を鋳造。のち弟長乗の門人後藤庄三郎に金座の仕事をゆずり,徳川家康,秀忠に金工としてつかえた。寛永8年10月13日死去。82歳。名は光基。通称は四郎兵衛。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「後藤徳乗」の解説

後藤徳乗
ごとうとくじょう

1550~1631.10.13

織豊期~江戸初期の装剣金工。後藤家の5代目。京都生れ。1582年(天正10)父の4代光乗とともに豊臣秀吉から判金改め・分銅役を引きうけ,同家の財務管理の一部を担当,天正大判の製作にも従事している。装剣金工としての作品は三所物(みところもの)がおもで,赤銅・金の地金に竜・獅子など伝統的な文様を高彫で表したものが多く,格調が高い。

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世界大百科事典(旧版)内の後藤徳乗の言及

【後藤庄三郎】より

…初代庄三郎(1571‐1625)はその由緒書に本姓は美濃国加納城主長井氏とあるが,疑わしい。むしろ,京都にあって豊臣秀吉のもとで大判吹きに従っていた後藤徳乗の弟子山崎庄三郎というのが正しいであろう。1593年(文禄2)秀吉からの下命をうけて徳川氏のために関東へ下ったが,これは,師家後藤四郎兵衛徳乗(光基)の養子となり,後藤家代々の名のり〈光〉の一字を許されて光次と称し,徳乗の名代として下ったものであった。…

【天正大判】より

…豊臣秀吉が1588年(天正16)京都の彫金家後藤徳乗に命じて鋳造させた大判。〈大判〉とは大型の判金という意味に用いられる。…

※「後藤徳乗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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