徒花(読み)アダバナ

デジタル大辞泉の解説

あだ‐ばな【徒花】

咲いても実を結ばずに散る花。転じて、実(じつ)を伴わない物事。むだ花。「徒花を咲かす」「徒花に終わる」
季節はずれに咲く花。
はかなく散る桜花。あだざくら。
「風をだに待つ程もなき―は枝にかかれる春の淡雪」〈夫木・四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

あだばな【徒花】

咲いても実を結ばない花。外見ははなやかでも実質を伴わないもののたとえにもいう。 「せっかくのヒットも-になる」
季節はずれに咲く花。狂い咲き。 〔日葡〕
祝儀として渡す紙纏頭かみばなで、あとで現金にかえるつもりのないもの。 「外聞ばかりの-を出し/浮世草子・椀久二世
咲いてすぐ散る、はかない花。特に、桜の花。 「風をだに待つ程もなき-は/夫木 4

いたずらばな【徒花】

咲いても実のならない花。あだばな。むだばな。 「恋の花や、-やうちや匂ひわたつた/浄瑠璃・平家女護島」

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

あだ‐ばな【徒花】

〘名〙
① 咲いても実を結ばない。むだ花。転じて、みせかけだけで実(じつ)を伴わない物事、予測される結果を伴わないで終わることにたとえていう。
※十巻本和名抄(934頃)一〇「花 爾雅云〈略〉栄而不実謂之英〈於驚反阿太波奈〉」
※歌謡・閑吟集(1518)「ならぬあだ花、まっしろに見えて、うき中垣の、夕顔や」
② 咲いてもすぐ散るはかない花。主として桜についていう。また、はかない恋のたとえ。
※建長八年百首歌合(1256)「風をだに待つほどもなきあだ花は枝にかかれる春のあわ雪〈藤原行家〉」
③ 季節はずれに咲く花(日葡辞書(1603‐04))。
④ 遊里で、客が芸妓などに渡す紙纏頭(かみばな)で、後で現金と替えるつもりのないもの。
浮世草子・椀久二世(1691)上「あだばなを出し人々に嬉しがらせ」
[補注]「誹諧初学抄」「毛吹草」「山之井」「哥林鋸屑集」には、春の季語としてみえるが、それ以後のものには、みられなくなる。

いたずら‐ばな いたづら‥【徒花】

〘名〙 実のならない花。むだ花。あだ花。やくざ花。
※浄瑠璃・平家女護島(1719)三「恋の花や、いたづら花やうちや匂ひわたった」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

未必の故意

犯罪事実の発生を積極的には意図しないが、自分の行為からそのような事実が発生するかもしれないと思いながら、あえて実行する場合の心理状態。→故意[補説]作品名別項。→未必の故意...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

徒花の関連情報