御禊(読み)ゴケイ

デジタル大辞泉 「御禊」の意味・読み・例文・類語

ご‐けい【御×禊】

天皇の即位後、大嘗会だいじょうえ前月賀茂川河原などで行うみそぎ儀式江戸時代御所内で行われた。
斎宮斎院などが祭りの前や卜定ぼくじょうのあとに、賀茂川で行うみそぎ。

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精選版 日本国語大辞典 「御禊」の意味・読み・例文・類語

ご‐けい【御禊】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ご」は接頭語 )
  2. 天皇即位の後、大嘗会(だいじょうえ)の前月(一〇月下旬)に、天皇が賀茂の河原などに出て、禊(みそぎ)をする儀式。古くは文武百官、女御以下が車馬をつらね盛大であったが、江戸時代になってからは、御所の内で行なわれるようになった。
    1. 御禊<b>①</b>〈年中行事絵巻〉
      御禊年中行事絵巻
    2. [初出の実例]「たたむ月には、大嘗会の御けい、これより女御だいいでたたるべし」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
  3. 伊勢の斎宮、賀茂の斎院などが、京都の賀茂川の河原で禊を行なう儀式。斎宮の御禊は初斎院および野宮(ののみや)に入る前、また、斎院の御禊はふつう、賀茂祭の前の、午(うま)の日か未(ひつじ)の日に行なわれた。
    1. [初出の実例]「ごけいの日、上達部など、数さだまりて、つかうまつり給ふわざなれど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)

ぎょ‐けい【御禊】

  1. 〘 名詞 〙ごけい(御禊)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「御禊」の意味・わかりやすい解説

御禊
ごけい

大嘗会(だいじょうえ)、賀茂(かも)臨時祭、石清水(いわしみず)臨時祭などの前に天皇が行う祓禊(ばっけい)の儀式。大嘗会の御禊は10月下旬にいずれかの河原に臨幸して行われた。その地はあらかじめ卜定(ぼくじょう)されるのであるが、平安時代以降は鴨川(かもがわ)で行うことがもっとも多かった。行幸には文武百官や供奉(ぐぶ)の女官騎馬、車を連ねて従い、庶人に至るまでそのようすを見物してにぎわったが、東山(ひがしやま)天皇(在位1687~1709)以後河原への行幸は廃され、賀茂臨時祭以下と同じく、清涼殿の儀のみとなった。また、伊勢(いせ)斎宮、賀茂斎院が河原に出て行う禊(みそぎ)も御禊と称したが、前者では、宮中の一画に設けた初斎院(しょさいいん)および野宮(ののみや)に入る際に鴨川、伊勢(いせ)に下る際に葛野(かどの)川を、また後者の斎院が賀茂に入る際には鴨川を、多く御禊の場所として用いた。

[杉本一樹]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「御禊」の解説

御禊
ごけい

「みはらい」とも。天皇・中宮・東宮・斎王などの行う祓(はらえ)の儀式。伊勢斎宮は三度の御禊といって,初斎院から伊勢神宮に入るまでに3度行い,賀茂斎院の場合は毎年4月の賀茂祭に先立つ午また未の日に賀茂川の河原で行った。天皇の場合は石清水・賀茂・平野臨時祭や臨時に宮中で行われたが,たんに御禊といえば大嘗会(だいじょうえ)御禊をさし,大嘗祭に先立って10月下旬に,賀茂川などの河原に行幸して盛大に行った。17世紀以降は宮中で行われた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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