大嘗会(だいじょうえ)、賀茂(かも)臨時祭、石清水(いわしみず)臨時祭などの前に天皇が行う祓禊(ばっけい)の儀式。大嘗会の御禊は10月下旬にいずれかの河原に臨幸して行われた。その地はあらかじめ卜定(ぼくじょう)されるのであるが、平安時代以降は鴨川(かもがわ)で行うことがもっとも多かった。行幸には文武百官や供奉(ぐぶ)の女官が騎馬、車を連ねて従い、庶人に至るまでそのようすを見物してにぎわったが、東山(ひがしやま)天皇(在位1687~1709)以後河原への行幸は廃され、賀茂臨時祭以下と同じく、清涼殿の儀のみとなった。また、伊勢(いせ)斎宮、賀茂斎院が河原に出て行う禊(みそぎ)も御禊と称したが、前者では、宮中の一画に設けた初斎院(しょさいいん)および野宮(ののみや)に入る際に鴨川、伊勢(いせ)に下る際に葛野(かどの)川を、また後者の斎院が賀茂に入る際には鴨川を、多く御禊の場所として用いた。
[杉本一樹]
「みはらい」とも。天皇・中宮・東宮・斎王などの行う祓(はらえ)の儀式。伊勢斎宮は三度の御禊といって,初斎院から伊勢神宮に入るまでに3度行い,賀茂斎院の場合は毎年4月の賀茂祭に先立つ午また未の日に賀茂川の河原で行った。天皇の場合は石清水・賀茂・平野臨時祭や臨時に宮中で行われたが,たんに御禊といえば大嘗会(だいじょうえ)御禊をさし,大嘗祭に先立って10月下旬に,賀茂川などの河原に行幸して盛大に行った。17世紀以降は宮中で行われた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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