( 1 )「いるかせ」が「ゆるかせ」に転じるのは、古辞書や「平家物語」の諸本などから、室町期に入ってからと考えられる。→「いるかせ(忽)」の語誌。
( 2 )②の意は「いるかせ」にはみえず、「ゆるかせ」のみで、しかも近世期に入ってからのものであるから、語源として、①を「ゆる(緩)」と関係づけることには問題がある。
「色葉字類抄」「観智院本名義抄」では、「いるかせ」の形だけだが、「文明本節用集」では「いるかせ」「ゆるかせ」の両形が見られ、「天草本平家物語」「天草本伊曾保物語」や「日葡辞書」などになると、「ゆるかせ」の形のみになる。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報