正常児童と比較して異常に早期に二次性徴が発現した場合をいう。性早熟症とも呼ばれる。一般に8~10歳以前に性早熟が現れた場合をさす。身長,体重の著しい増加とともに,男子では陰茎,睾丸の発達,変声,恥毛,腋毛の発生がみられ,骨年齢bone age(骨の骨化つまり成熟度によって定められる年齢)が高まるが,アンドロゲンの作用により骨端線の閉鎖が起こり,早期に身長増加は停止する。女子の場合,乳房の発達,恥毛,腋毛の発生,性器出血,骨年齢の増加がみられ,エストロゲンの作用による骨端線閉鎖もみられる。子宮出血は無排卵性子宮出血から,しだいに規則的となり,排卵も起こるようになる。
女児にみられる原因不明のものが最も頻度が高く,特発性思春期早発症と呼ばれる。中枢神経系になんらかの異常があり,これに続発して起こるものは脳性(あるいは続発性とも神経性とも)思春期早発症と呼ばれる。このうち脳腫瘍とくに松果体腫瘍の場合が多い。また,片側性の繊維囊腫性骨病変と皮膚の褐色色素斑に,女児の場合しばしば性早熟を伴うことがあり,マッキューン=アルブライト症候群McCune-Albright syndromeまたは単にアルブライト症候群と呼ばれる。以上の場合の性早熟を真性思春期早発症と呼ぶ。これに対して仮性思春期早発症と呼ばれるものでは,脳下垂体性ゴナドトロピンが抑制されるようなものが含まれる。これらには先天性副腎過形成によるものや,睾丸,卵巣,副腎などの腫瘍によるものがあり,アンドロゲンやエストロゲンが上昇していることが性早熟の原因である。それ以外に,原発性甲状腺機能低下症や,肝臓癌のようなゴナドトロピン(HCG)産生腫瘍に伴うものもみられる。時として,乳房のみ,あるいは恥毛のみ異常に発達する場合もみられる。
執筆者:村上 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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[思春期の医学]
次に頻度の高い病気やとくに注意しなければならない異常を簡単に述べる。(1)思春期早発症(性早熟症) 8~9歳以前に二次性徴が出現し,女性では月経をみるものがある。この病気は初めは身体発育が早いが,まもなく停止して,結果的には低身長に止まる。…
…一般的には,精神的,肉体的な成熟の度合が漠然と1~2年早めであることをいうが,これは単なる発育の個体差で病的なものとはいえない。しかし,幼児に大人の肉体的徴候が現れるような性早熟は病的なもので,思春期早発症とよばれる。そのほかに数学や音楽など科学的・芸術的才能に非常に早期から秀でるような場合は,早熟というよりむしろ天才とよばれる。…
※「思春期早発症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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