フランスの作家ジャン・コクトーの小説。1929年刊。中学生の雪合戦のさなか、ダルジュロスの投げた雪の玉が命中し、倒れたポールは発病して病床につく。ダルジュロスは退校を命じられ、ポールは姉のエリザベートと口論しながら療養してしだいに快癒する。姉はアメリカ人の青年実業家と結婚するが、夫は式のあと交通事故で急死し、莫大(ばくだい)な遺産を相続し、広大な邸宅で乱雑な暮らしが始まる。ポールの親友ジェラールはエリザベートを恋し、ポールは姉の友達アガートを恋する。弟を失うことを恐れた姉はアガートをあざむいてジェラールと結婚させる。絶望したポールは服毒し、罪の暴露したエリザベートはピストルで自殺する。子供たちの宝物遊び、夢遊び、細長い部屋を屏風(びょうぶ)で仕切った4人の暮らしなど、少年期から思春期への揺れ動く魂の謎(なぞ)を描き、第一次世界大戦直後の青春像を定着させた「小説詩」の傑作。17日間で書き上げただけに、独特のスピード感をもつ文体がみごとである。
[曽根元吉]
『佐藤朔訳『恐るべき子供たち』(『ジャン・コクトー全集3』所収・1980・東京創元社)』▽『鈴木力衛訳『恐るべき子供たち』(岩波文庫)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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